道総研が函館で地域防災セミナー 福井研究主幹が講演

2019年02月09日 12時00分

 道立総合研究機構は1月16、17日に「地域の防災を考える」セミナーを開催した。福井淳一地域研究部地域システムグループ研究主幹が「防災から考えるまちづくり戦略」と題し講演した。講演要旨は次の通り。

 防災対策が進まない一因として多少の異常事態が起きても正常の範囲内と捉え、心の平静を保とうとする正常性バイアス(偏見)の働きがある。

 韓国テグ市の地下鉄火災では煙が充満する車内にいながらも「被害は大したことない」との放送に従い、多くの乗客が逃げずにとどまった。

 また、御嶽山噴火で死亡した人の多くは噴火後も火口付近にとどまり、噴火の様子を写真撮影していたことが分かっている。携帯電話を手に持ったままの遺体や噴火4分後の撮影記録が残るカメラがあった。

 このように根拠なく、自分の在職中は災害が起きないと思っていたり、周辺自治体と横並びの対応でいいと思っていないだろうか。科学技術の知見を重んじ、正しく、冷静に認識してほしい。

 道によると、道南地域を含む日本海側では津波の水位以上に到達時間が早いことに注意が必要。3、4分で到達する場所もあり、ほとんど逃げることができない。また、渡島近郊では函館市が4―5mくらいの津波だが、東側の森町、鹿部町では8m以上とかなり水位が高い。

 東日本大震災の復興過程から学ぶと、2015年の推計では19年に陸前高田市の宅地供給が800戸超のピークを迎えると予測されていた。しかし、17年の推計では19年の供給戸数は300戸程度にとどまる。復興が長引いたことが人口減少につながっている。

 災害発生を想定し、被害最小化を目指した都市計画やまちづくりを推進する「事前復興」の考え方も重要だ。

 神恵内村では津波が発生するとほとんどの市街地が浸水してしまう。そのため、あえて浸水地域に庁舎を改築し、地域住民が逃げ込める施設にした。

 鹿部町では津波発生時に周辺住民の避難所にもなる公住を整備。1階を共用スペースとして2階以上に居住スペースを配置したほか、避難階段が一目で分かる配色やピクトデザインを施した。

 自治体や民間の関わり方で復興の仕方に大きく差が出る。その違いがまちの将来を決める。北海道でも大災害は起こる。復興過程を学んで自己経験化をしてほしい。災害のためだけでなく、人口減少に対応したまちづくりが幾世代にも継承できるまちにつながる。(函館)


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