企業誘致へ行政も期待 富良野市山部の工場跡地が分譲中

2019年02月06日 12時00分

 北菱(本社・富良野)は、2018年6月に取得した富良野市山部地区の木材工場跡地5haを、産業用地「富良野山部団地」として分譲している。大部分が山林と農地である市内にはこれまでまとまった土地がなかったことから、ようやく企業誘致に適した土地が確保できたと行政側の期待も高い。今井登社長は「人口減少に直面する富良野にとってプラスになる形で活用してもらえれば」と話しており、市の企業誘致活動に協力していきたい考えだ。

 山部は富良野の市街地から南に自動車で15―20分程度の距離にある地域。1966年に富良野市と合併した。現在の主な産業は農業だが、後継者不足による離農が増え、人口が減少するといった課題を抱えている。

 同社が取得したのは、JR山部駅裏の山部北町にある木材工場跡地。広さは5haで、38号線にも近い。「四方を山に囲まれた盆地であるため風は落ち着いており、夏は涼しく冬の気候も安定している」と今井社長。こうした環境から「野菜工場や企業のデータセンターのほか、大学やスポーツチーム向け合宿施設などが適しているのではないか」との展望を示す。

北菱が分譲する富良野市山部団地。企業誘致に向け、環境や気候の良さをアピールしている

 近年、企業誘致に力を入れている富良野市企画振興課の松野健吾主査は「北の峰地区の市有地は売却が進んでいるほか、農地の転用もハードルが高く、まとまった土地を確保できないのが課題だった」と市内の現状を指摘。今回の用地整備については「山部地域が活性化し、定住・交流人口の増加につながるような企業が進出してくれれば」と話すなど期待は大きく、今後、インターネットや企業誘致関係のイベントを通してアピールしていく考えだ。

 同じく企業誘致関連の業務を担う上川総合局商工労働観光課の鈴木誠之主査は「工場跡地で整地もされている。食品工場などができれば富良野の知名度の高さによる製品の優位性も発揮できる」と評価。道内進出を目指す企業に対してこの土地を積極的に紹介するなど、誘致に向けた具体的な取り組みも進めている。

 地元の反応も上々だ。山部商工会の杉谷久己事務局長は「札幌圏や道外から企業が進出してくれれば、地元雇用や購買力向上による新たな消費が生まれるのでは」と地域経済の発展につながることに期待を寄せている。


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