札幌市都市局は2019年度予算案のうち、要緊急安全確認大規模建築物に対する耐震改修補助で、前年度の約4倍となる2億2000万円を計上した。設計6施設、工事2施設を見込む。国の耐震化補助が延長となる見通しであることや、昨年の北海道胆振東部地震の影響もあり、今後は民間建築物耐震化への関心が高まりそうだ。
市は、耐震診断と報告が義務付けられている要緊急安全確認大規模建築物に関し、15年度からはそれまで診断のみだった補助範囲を、設計・工事まで拡充。国の補助とは別に、市の補助も活用できるような制度を設けている。
19年度予算案では、設計6施設に3000万円、工事2施設に1億9000万円を設定。このうち工事の1施設は18年度からの継続となる、札幌中央競馬場外センターが活用する見通しだ。
これまでの補助実績を見ると、設計は15年度6件、16年度7件、工事が複数年工事の同一施設の重複も含めて15年度2件、16年度3件、17年度2件という状況。
18年度の実績は、設計1件、工事2件。現在中央区で改築を進める札幌中央競馬場外センターの建て替えで、設計と工事1年目で補助を活用。補助対象となった事業費は設計が約1億4219万円、工事は現時点で約631万円となっている。このほか、16年度から工事補助を活用する新さっぽろアークシティサンピアザは、最終年度分として7800万円が対象となった。
15―18年度の補助実績は設計が計14件、工事が計9件、対象事業費の総額は20億3929万円。補助制度の開始以降、着実に民間建築物の耐震化が進んでいる。
一方、18年度を期限としていた国の耐震対策緊急促進事業の補助制度が、22年度までの延長に向けて国の19年度当初予算案に事業費が計上されている。これで今後数年は、民間事業者などに対する耐震化への意欲を引き出す効果が期待される。
ただ、市内にある大規模建築物で、安全性が最も低い「倒壊・崩壊の危険性が高い」とされるのは、まだ37施設(18年12月時点)ある。このうちホテルが最多の13施設、続いて百貨店やマーケットなど店舗が8施設と続く。
また、市の補助制度で設計を利用しているものの、工事に踏み切っていない施設も控えている。