地域の企業と大学の関係強化へ 道科学大が卒業研究発表会

2019年02月13日 12時00分

 北海道科学大は、6日から8日にかけて、同大で工学部4学科と未来デザイン学部1学科の卒業研究発表会を開いた。地域の企業と大学の関係性を強め、今後の研究や開発、採用活動のきっかけをつくろうと、初めて企画。建設業や製造業など10社12人の一般参加者と3年生を前に、4年間の学びの集大成を発表した。

各10分間のプレゼンテーションをした

 建築学科の研究テーマは、建築仕上げ材料や気候風土・地域特性に合った建築設備、都市空間に関するものなどさまざま。スーツに身を包んだ4年生が、自らの研究について10分程度のプレゼンテーションをした。

 谷口尚弘教授のゼミ生3人は「炭鉱地域の縮退プロセスに関する研究」を発表した。芦別市と美唄市、上砂川町でヒアリングや参考文献調査を実施。まちの現状と課題をひもといた。

 芦別市の現在の人口は1万4000人ほど。最盛期には8万人近くいたが、炭鉱の閉山が相次ぎ石炭産業が衰退したことで人口の流出が進んだ。

 松井優樹さんは、航空写真を基に炭鉱住宅街の変遷を考察。炭鉱住宅が減り、工場などが増えているとし、市が工場誘致施策を採っていることが背景にあると説明した。

 民間企業の手によってソーラーパネルの設置が進んでいる。松井さんはエネルギー産業に頼りすぎることを懸念。炭鉱で栄えたが、その後疲弊したまちの歴史を振り返り、「同じような失敗をしないよう、方策を考える必要がある」と提言した。

 名古屋龍弥さんは、上砂川町のシェアハウスを紹介。炭鉱最盛期に児童館として利用していた建物を改修し、2017年にオープンした。観光客の呼び込みや移住促進を目的としている。「上砂川町を知ってもらうために有効な施設」と意見を述べた。

 シェアハウスを利用したことがある移住者に聞いたところ、地域おこし協力隊になった人からは「札幌にも1時間半ほどで行けて、スーパーも近い。不便ではない」という声があった。一方で、医療施設や学校教育を不安視していることが分かったと報告した。

 田沼吉伸教授のゼミ生である早見真菜さんは、鉄骨製作工場の溶接作業場の温湿度に着目。札幌市と石狩市にある工場の溶接作業場で温湿度データロガーで数値を測定し、作業に適した環境であるかどうかを考察した。

 作業環境としては問題ないと結論付けた。ただ、夏季は両工場とも室内温度が30度を上回ることや、溶接をする場所の付近では80度を超えることから、「人為的なミスの発生は考えられる」と指摘した。


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