非正規にも手厚く配慮 賃金保証や賞与支給で通年の人材確保へ
国や道の測量設計業務などを手掛ける細道コンサルタント(本社・浦河)が進める、人材確保に向けた取り組みが特徴的だ。常勤作業員(非正規)に関し、厚生年金などを掛けるため1カ月のうち12日は、仕事の有無にかかわらず賃金を保証するとともに賞与を支給し、作業員の暮らしを手厚く支える。「道内でも珍しい取り組み」とし、少子化を迎える中で「人が大事」と語る、久保佳幸社長に話を聞いた。(苫小牧支社 安藤 友康)
―常勤作業員の仕事内容は。
現在の従業員は20人ほどで、うち非正規で日給制の30代から60代の常勤作業員が4人在籍する。測量機械の補助や杭打ち、草や枝刈りなどの作業をしている。
―待遇改善に向けた取り組みは。
天候が悪化し現場に行けない日や祝祭日が続くなど、労働日数が減った場合は生活が成り立たない。冬場は仕事がなく、無収入となり会社を離れる事例があり、人材確保に苦労してきた。
そこで、1カ月の12日までは仕事の有無にかかわらず、通年で賃金を保証する制度を導入した。目安として、月12万円ほど、年間150万円程度の収入を得ることができる計算。厚生年金といった支給基準も超えるため、正社員と同じく保険や年金を掛け、賞与も支給している。
―一方で新卒技術者の確保・育成はどのように。
技術者を目指し入社した新卒社員に対し、測量設計協会などの補助金を加え全額学費を持ち、札幌市内の専門学校に1年通わせた例がある。
私も苦労しながら働いた費用を充てて専門学校を卒業しており、人材確保だけでなく、資格取得の負担を減らす取り組みを続けていきたい。
―地域に根差す企業として必要なことは。
札幌など人口の多い街なら人は集まるが、浦河のような地方の町は本当に集まらない。正社員ではなく、非正規の日給制を望む人もいる。地域に根差す企業として、経費をかけてでも、さまざまな働き方に対応しなければならない。
久保 佳幸(くぼ・よしゆき)1949年6月2日生まれ、浦河町出身。社会人経験を経て、75年北海道測量専門学校を卒業。83年に旧・細道測量に入社し91年から社長に就いた。