女性活躍社会実現に向けて 会社のサポートが重要
建築設備技術者協会を母体として全国8支部に広がる設備女子会。北海道支部は2016年に設立し、業界で働く女性の親睦や魅力ある環境づくり、社会的評価の向上などを目的にさまざまな活動を展開している。野坂のぞみ会長に会の現状と、女性活躍社会に向けたヒントを聞いた。
発足から2年が経過した。取り組みの感想は―。
発足当時から「どぼじょ」「けんせつ小町」「建設どさん娘の会」など、すでに活躍されている女子会があったので、必要性や会員数に対して不安がありました。
ふたを開けてみると、会員数は50人ほど。総会や現場見学会など多くの人に参加していただき、設備女子会に対する各社の理解と、会員からの期待を実感しています。改めて、有意義で有益な内容にしなければならないと感じています。
業務上、女性としての悩みで多いことは―。
私は丸北三建工業(本社・札幌)に所属し、営業と積算の業務に携わっています。入社当時、専務から「男性にできて、女性にできない仕事はない」と言われたのが印象的でした。その言葉の通り、さまざまな機会を与えてもらい、現在は部門長に就かせていただいています。
それでも「出過ぎて煙たがられたくない」という思いから、受け身の姿勢になることが多いです。
トップが男女平等を周知させてくれるという、とても恵まれた職場環境にいながらも、「私でいいのか」「その仕事は、男性がやった方がうまく解決するのでは」と思うことが今でもあります。
しかし、男女問わず会社や顧客のためになる提案は、説得力のある説明をすることで採用・傾聴してもらえると思います。独りよがりにならず、バランスをもって業務に取り組みたいと考えています。
建築設備士の魅力は何か―。
業界の資格はいろいろありますが、設備設計一級建築士が最も必要な資格だと考えます。取得には一級建築士の資格が必要です。設備屋が一級建築士を取得するには、まずは建築設備士を取得することが一番の近道で、とても重要な資格だと考えます。
勉強することで一層の知識向上につながりました。北海道設備設計事務所協会主催の勉強会で、いろいろな企業・業種の方々と知り合えたのも良い経験・財産になりました。合格が自信につながり、仕事にも貢献できていると思っています。
私は、子どもが大きくなってからの受験だったので、勉強時間は、ある程度取れました。育児真っ最中の女性社員は大変だと思います。最近取得した女子会仲間の2人は、いずれも小さいお子さんがいての受験でした。会社のサポート環境も重要だと思います。
設備女子会に対する外部の反応は―。
設備女子会は、業界団体ではなく設計事務所やゼネコン、官庁、電気・機械と、設備関連のさまざまな人で構成する組織のため、受け入れられやすく、札幌市の現場見学会など、いろいろな方々にご協力いただいています。最初は「業界の方々にどう思われているのだろう」と不安でしたが、2年たって活動しやすくなりました。
今後の活動方針を―。
一つ目は現場見学などを通じての知識向上、ネットワークの構築が主になります。二つ目は2年前からインターンシップなどで学生に講演をしていますが、業界の魅力をできるだけ分かりやすく伝え、男女問わず一人でも多くの入職につながる活動のお手伝いをしたいと考えています。
女性ならではの明るさや親しみやすさは残しつつも、気負いせず、生活に欠かすことのできない設備の知識向上につながる活動を一生懸命取り組みたいと思っています。
野坂のぞみ(のさか・のぞみ)1972年6月2日、伊達市生まれ。建築設備士と一級管工事施工管理技士の資格を持つ。趣味は3年前から始めたマラソンで、4月は石垣島トライアスロンに挑む。3人の子ども(長男21歳、長女19歳、次男16歳)がいる。