建物修繕などに28億円 市立札幌病院の中期経営計画

2019年02月20日 18時00分

 札幌市病院局は、2019年度から24年度までの6年間を対象とする、市立札幌病院の中期経営計画案をまとめた。14年度以降続く経常収支不足の改善に向け、入院患者数増加による収益確保や委託事業の見直しといった業務効率化を通じ、財務の健全化を目指す。期間内の建設改良費は76億5800万円で、うち建物修繕など医療機器以外は28億200万円を占める。

 15―18年度を対象としていた、前中期経営計画である新ステージアッププランの後継計画。対象期間は道医療計画やさっぽろ医療計画2018と整合性を図った。

 近年の病院経営状況は、収益は入院がほぼ横ばい、外来は増加。一方で経費は増税に伴う材料費や委託費の増加、14年度に建設した非常用自家発電の減価償却費に加え、維持管理での業務委託が新たに発生している。

 収益の伸び悩みがある半面、費用は増加傾向のため、14年度以降は経常収支が10億円以上不足する厳しい状況が続く。

 このため、次期計画は医療の質向上を図るとともに、喫緊の課題とする財務の健全化に向けた、経営改善の指針と位置付けた。具体的には、救急患者の受け入れや手術の実施体制、病床利用率の向上などを図り、収益の増加を目指す。

 業務の効率化関連では、適正な人員配置のほか、重複業務の確認といった委託事業の見直しを19年度までに検討。材料費は安全性を踏まえてジェネリック医薬品への移行を継続し、計画的な医療機器の更新・整備を進める。

 また、休止した8階東病棟を廃止し、高度急性期病院として必要な病床機能などを検討して医療資源の再分配を図る。

 これらの推進で、17年度時点で経常収支10億8000万円、資金収支15億900万円の赤字収支を、20年度には黒字化とする目標を掲げた。

 このような財務状況から、医療機器更新費を除いた建設改良費は、施設継続を図るための必要最低減の費用を計上。

 主に医療機器更新に伴う設備更新などを中心に、期間中の多くは年間3億―4億円程度で推移する。費用が最多となる23年度は患者が使用する酸素用の医療ガス配管設備の更新を予定している。

 計画案は22日から市民意見の募集を開始。年度内の策定、4月の公表が目標。

 建設改良費のうち、医療機器以外の年度別の費用は次の通り。

 ▽19年度=2億8700万円▽20年度=3億900万円▽21年度=4億7600万円▽22年度=4億9800万円▽23年度=8億2400万円▽24年度=4億800万円


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