札幌商工会議所ものづくり工業部会は20日、札幌グランドホテルで航空機産業をテーマとした研修会を開いた。北海道経済産業局の担当者と、航空機産業に参入している道外2社の代表者が講演。参加した約60人は航空機産業への進出の可能性を探った。
北海道経済産業局製造産業課の佐藤友樹課長補佐が航空機産業の現状と今後の展望について説明。旅客需要の増加と共に、今後も世界の民間航空機市場は成長が期待される。国内では、2030年に生産額が3兆円を超えると予想されている。
航空機産業は参入のハードルが高いと言われ、「気圧や外気温に耐えるような高い精度が求められる。一つ一つの部品の検査や認証が厳しい」と説いた。
一方で、全国各地で航空機産業への参入を目指す動きが活発化している。18年7月には北海道航空ビジネス検討会が発足。専門家の派遣や国際航空宇宙展といった展示会出展支援のほか、セミナーや勉強会を開いている。
経済産業省は、ビジネスマッチングを後押しする事業展開や、生産管理・品質保証ガイドブックを作成するなどしている。佐藤課長補佐は「道内から航空機産業に参入する企業が次々生まれてくれば」と展望した。
丸大機工(本社・秋田県にかほ市)の航空機産業との出合いは06年5月。秋田県産業技術センターの所長に、秋田輸送機コンソーシアムに参加してほしいと頼まれたのが始まりだった。菊地兼治社長は「成長が見込める産業にいち早く参入し、売り上げの増加につながれば」という考えだったと明かした。
16年に、航空エンジン部品の製造などを手掛ける山本精機(本社・東京)との取引を開始したことをきっかけに本格参入した。18年に東京都内で開かれた国際航空宇宙展に展示された小型ターボジェットエンジンのディフューザーは、丸大機工が手掛けたもの。試行錯誤を重ねて完成させた。大変だったが「苦労した分だけ達成感があった」と振り返った。
17年に航空宇宙用JISQ9100を取得した。「ノウハウを蓄積し、丸大機工ブランドを構築していきたい」と意欲を見せた。
このほか、山之内製作所(本社・横浜)の山内慶次郎社長が、航空機産業の魅力をテーマに講演した。