北海道住宅都市開発協会は25日、札幌第一ホテルで、営業に役立つセミナーを開いた。約70人が参加。3人の講師から、2018年の札幌圏住宅販売状況や、ロシア住宅事情の視察報告を熱心に聞いた。
リクルート住まいカンパニー支社・エリア営業統括部支社営業部札幌グループ戸建チームの小沢利子さんが「18年の札幌圏住宅マーケットについて」と題して講演した。札幌市内の分譲マンション新規供給戸数について、18年度は17年度に比べて195戸増加。販売価格を抑えるために専有面積が小さくなり、「ファミリータイプでも3LDKや2LDKが主流」と傾向を説いた。
18年の札幌市と近郊4都市(江別、恵庭、北広島、千歳)の新築戸建て着工数は6349棟。17年度を55棟上回った。江別と恵庭は10%を超える伸び率だった。近郊4都市は、建売住宅が増加。18年は過去最多の226棟で、特に江別での増加が著しい。
ハウスメーカーの動向も紹介した。近年は、最新のIoT技術を取り入れた物件が登場。大和ハウス工業はGoogle Homeを活用した「コネクテッドホーム」を展開中だ。声でシャッターや照明といった家電の操作ができる。
事業の多角化が目立つ。ミサワホーム北海道は、JR北海道の土地を借りてサービス付き高齢者住宅の建設・運営をしている。
東南アジア地域をはじめ海外事業に目を向ける動きも活発化している。全国の中規模ビルダー5社が共同出資してベトナムで会社を立ちあげ、事業展開を目指す動きを紹介。「複数企業による共同出資、事業展開を考えている会社が増えている」とした。
19年は、都心と田舎の2拠点での生活(デュアルライフ)を楽しむデュアラーが増加すると予想。「東京と札幌は飛行機で1時間半以内。関東圏の人が北海道に興味を示しているという話を聞く」と明かした。
コスモ建設(本社・札幌)の高山寿彦社長は、18年11月にロシア第2の都市であるサンクトペテルブルグの視察結果を報告。中心部には世界3大美術館の1つ、エルミタージュ美術館がある。「これよりも高い建物を建ててはいけない。そのため、上空から見ても地上から見ても整ったまちなみになっている」と説明した。
日本とは異なり、スケルトン渡しをするため、新築マンションの方が安価だ。キッチンや暖房、ユニットバス、照明などは後から購入者が取り付けるため、内装を請け負う業者が多いという。
分譲マンションを手掛ける設計事務所を訪問した。建物が建つことで風向きがどう変わるのか、どういった影響があるのかを数値化していた。「建てる場所によっては、こうした配慮も必要だと感じた」と話した。
このほか、日本ユニシスの担当者がスマートフォンでバーチャル住宅展示場を見ることができるサービス「マイホームマーケット」を紹介した。