深川砂利工業が石狩川で掘削
北海道開発局の第15次砂利採取規制計画(2016―18年度)見直しを受け、砂利業者による河川砂利採取の動きが進んでいる。北海道砂利工業組合空知支所は18年5月ころから河川管理者の札幌開建と協議を重ね、組合員の深川砂利工業(本社・深川)が石狩川で19年1月から掘削を開始。河川砂利3万9600m³を採り、2月末に無事作業を終えた。
開発局の砂利採取規制計画は、河川管理に支障が生じたり、河川環境が損なわれないよう、砂利などの採取を規制するのが目的。道内では1980年ころから河床低下が顕在化し、サケの産卵床といった環境影響への懸念などから策定した。第15次計画は雨竜川と湧別川のみ採取を認めていたが、18年度の見直しによって6水系14河川1ダムに広がった。
道砂利工組空知支所では、札幌開建が18年5月に開いた説明会を機に富岡正幸支所長が「石狩川の河川砂利採取を実現させたい」と決意。石狩川が流れる深川市と滝川市、砂川市、新十津川町、雨竜川が流れる幌加内町の計5カ所を候補地とし、滝川河川事務所と事前協議を進めている。
規制計画の見直しを踏まえ、河川砂利の採取で第1号となった北空知頭首工下流。切り込み砂利3万9600m³の採取を計画し、ホッコングループの深川砂利工業が1月8日に着手した。
現場は2万4000m²ほどの広さ。バックホー4―5台で1日1000m³のペースで作業を進めた。下流から上流側に向かって順繰り弧を描くように掘り進めた。
北海道漁業組合連合会に濁水対策を提示し、ポンプや沈殿槽を設置しながら作業を進めた。現場が自社の敷地そばという好立地から、採取した砂利はダンプトラック5台で街中を通ることなく仮置場までピストン輸送した。事業開始から2カ月足らずの2月末に終了。効率の良さが如実に表れた。
初めは立木の根や泥などで思うような砂利が採れなかった。それでも上流へと掘削を広げると、密度や吸水率の良い上質な川砂利が出てきたという。
冬季ならではの苦労もあった。特にダンプの確保は、除雪向け車両との取り合いとなり、やりくりに苦慮した。それでも「採算の合う陸砂利が採れなくなっている中、良質な河川砂利を採れるのは本当にありがたい」と深川砂利工業の吉尾雅弘社長は満足げに話す。
道砂利工組空知支所の富岡支所長は「石狩川で河川砂利採取が実現できたことは大変画期的なこと。札幌開建をはじめ関係者に改めて感謝する。今後も空知支所の総力を挙げ、地域の治水対策の一助となるよう努力したい」と話している。