日本銀行釧路支店と同行帯広事務所は、4月からNHKで放映される十勝を舞台にした連続テレビ小説「なつぞら」の十勝管内への経済効果を試算した。ドラマ放映に伴う観光客数の増加から生じる効果のみを対象にし、宿泊や外食などの直接効果が63億円、食品や農業などの間接効果は32億円の計95億円を見込んだ。
同ドラマは、広瀬すずさんが演じる戦後の十勝で育った少女が草創期を迎えていたアニメーション業界に飛び込みアニメーターとして成長していく物語。十勝が物語の前半の舞台となり、昨年6月とことし1、2月に新得町や池田町、陸別町などで撮影が行われた。
日銀は、2010年度から17年度までの連続テレビ小説の舞台になった3大都市圏を除く8地域の観光客増加率を試算。平均の増加率は13.1%となった。17年度の十勝管内観光入り込み客数の実人数にこの平均増加率を乗じた結果、49万7000人の増加が見込まれた。この値を基に算出した観光消費増加額は89億円。このうち十勝管内の生産を押し上げる直接効果は63億円と7割を占める。直接効果から計算した間接効果は32億円としている。
直接効果と間接効果を合計した経済効果を業者別に見ると、宿泊業が19億円でトップとなり、次に飲食サービスと運輸がそれぞれ13億円と続く。
山崎真人日銀釧路支店長は、観光客数と十勝産品の消費拡大による観光消費額の2点が増加できるようであれば95億円を超える可能性があることを指摘。観光客数に関しては札幌や首都圏、大阪などでのPR活動やSNSを活用した情報発信をポイントに挙げた。