北海道経済産業局と札幌市は15日、「シベリアビジネスへの挑戦」と題するロシアビジネスセミナーを経産局第1会議室で開いた。ロシアビジネスに関心のある企業や自治体の関係者ら約60人が参加。識者の講演などを通じて、進出の可能性を探った。
北海道国際交流・協力総合センターの吉村慎司研究員が「シベリア3大都市と現地企業訪問報告」と題して講演した。
ノボシビルスク市の人口は161万人で、ロシア3番目の大都市。サービス業や学術都市として有名で、中心部にはシベリア北海道文化センターがある。クラスノヤルスク地方は経済力が高い。資源が豊富で、近年は高層ビルやマンションなどが立ち並び、開発が進んでいる。オムスク市の人口は117万人。歴史がある街で、中心市街地はヨーロッパ調に整備されている。
モノリットホールディングはクラスノヤルスクの大手建設業者。環境に配慮した「スマートタウン」の建設に注力している。設計は日建設計が担っている。
吉村研究員は「自分の目で見て、自分の問題意識で歩き、自分のシベリアを見つければ、ビジネスにつながることが必ずある」と説いた。
札幌とノボシビルスクは、姉妹都市として交流している。札幌市国際経済観光局経済戦略室の片岡泰経済戦略推進課長は「シベリアではマイナス30度は普通。道内の寒冷地技術を生かせる場所」だと紹介した。
しかし、情報に乏しく、現地に進出している日本企業は少ないのが現状だ。2020年には姉妹都市連携を結んで30周年を迎える。「持続的・発展的な経済交流が進めば」と期待した。
クラウドサービスを提供するイークラフトマン(本社・札幌)の新山将督社長は、17年2月に初めてシベリアを訪問し、IT企業・ベンチャー企業の優秀さを知ったという。
1月にロシア語ができる人材を得て、2月にロシアのオーラス社と代理店契約を締結した。「日本企業の進出が少ない。現地の企業と先行的に契約できる機会がある。今がチャンス」と強調。成功の秘策として「日本のビジネスの考え方を海外に持ち込もうとせず、現地のルールに合わせればスムーズに話が進む」と助言した。
このほか、北大国際部国際連携課のロマーエヴァ・マリーナ産学官連携コーディネーターが「日本と中央シベリアの産学官連携の成果や展望」と題して講演した。