昨年9月の地震に伴うブラックアウト(大規模停電)で、札幌都心にあるビルや施設の約4分の3が機能を制限されていたことが、札幌市の調査で分かった。自立分散型の非常用電源を備え機能を維持したビルは2割程度にとどまる。全体の8割は発電機を保有していたが、稼働時間の短さや発電用の燃料不足など、震災が想定を上回った様子もうかがえる。
北海道胆振東部地震の影響を探るため、市内中心部の約300㌶にビルや施設を置く、官民の所有者205者を対象に調査した。
用途は事務所、商業、文化、教育、医療、宿泊の各施設、マンションなど共同住宅など。調査期間は昨年10月26日から12月31日で、153者の回答があり、回答率は75%だった。
非常用電源の保有に関する調査では、非常用発電機が約8割の118施設で保有し、燃料は重油、軽油が、それぞれ約4割を占めた。
被災者への電源供給などに活躍した、さっぽろ創世スクエアや札幌三井JPビルディング、アーバンネット札幌ビルが備えるコージェネレーション型の設備は、9施設で6%にとどまっている。
震災直後のビル機能の調査では全体の47%にあたる72施設が「機能した」が、52%の80施設は「機能しなかった」と回答。
「機能した」施設のうち「全部」維持したのは7施設で、「ほぼ全て」を加えても全体の17%にとどまり、8割は機能が制限された状況だったことが読み取れる。
電気は全体の3割が発生から24時間で回復したが、ほぼ全てのビルに行き渡るのは42時間が経過した7日午後9時ごろ。
設置が多い非常用発電機は半数の稼働時間が24時間未満で、施設側の想定を上回った様子。2割は「十分に機能しなかった」とし、備蓄燃料の不足や不具合が理由に上がり備えの充実が課題として浮き彫りになった。
自立分散型電源の必要性は全体の7割となる110施設が「必要」と回答。電源共有や電力共有には6割が「抵抗なし」と答え、都心の再開発に合わせ、電源設置やネットワーク化によるエリア的な対策議論が活発化しそうだ。