排泥管の破損で、19日に発生した古平町の断水は、27日午後に残った一部地域が回復し、全面復旧した。問題の排泥管は耐用年数を超えていたが、少ない予算を効率的に使おうと、同じく老朽化した配水管の更新を優先。結果的に対応が後手に回った。住民の暮らしだけでなく、命にもかかわる水道インフラ。その維持に必要な費用を捻出しようにも、水道料金への反映は容易ではない。古平町だけでなく、多くの自治体に当てはまる難しい課題だ。(小樽支社・小田真沙樹記者)
17日夜、浄水場への取水量低下を町職員が発見。翌18日、導水管や浄水場を中心に原因箇所の特定を進めたが、19日午前5時半ごろに配水池が渇水し、町内全域で断水。町内7カ所に給水所が設けられ、近隣自治体、小樽開建、札幌開建が応急給水支援に駆け付けた。
断水の原因は、導水管から分岐する排泥管6本のうちの1本の破損。導水管と同じく1974年ごろの敷設とみられ、導水管と排泥管の間にある弁が壊れ、排泥管の亀裂から漏水した。問題の排泥管がいずれの図面上にも未記載で、残雪が作業の支障ともなり、初期対応が遅れた。
すぐに破損部分を補修して応急復旧したが、漏水の影響で沈砂池の水位が低下し、導水管内に充満した空気が取水の妨げになったため、雪の下から排泥管を探り当て、排泥管からエア抜き作業を実施。これと同時に、仮設取水口に排水ポンプを設置し、浄水場への取水量を確保した。
今後の対応として、仮設取水口に排水ポンプ1台を追加し、計3系統で水量の安定確保につなげるほか、導水管内のエア抜きを継続。エア抜きで取水量が回復すれば仮設取水口を撤去するが、回復しない場合は仮設取水口の常設化に向け、造成などが必要となる。
耐用年数を超えながら、排泥管を含む導水管の更新に着手できなかった理由を高野龍治建設水道課長は「更新に充てられる予算が少なく、事業の選択と集中をする中、漏水事故が発生していた配水管更新を優先した」と説明する。必要な予算を確保できないことが根本原因にあるならば、安全・安心な水を住民に届けるため、予算確保の新たな仕組みづくりが必要だ。
(2019年3月29日付4面より)