釧路市と釧路公立大地域経済研究センターは、2018年度のクルーズ船寄港による経済波及効果を3億2000万円と算出した。乗員・乗客1人当たりの平均消費額は1万円弱で、ツアーバスやタクシーなどの運輸・通信業、外食や土産品購入などのサービス業と商業などへの経済効果が大きかった。
クルーズ船の乗客・乗員にアンケート(回収数630件、回収率12.7%)を実施し、釧路市産業連関表を用いて算出した。
18年度に釧路港へ寄港したクルーズ船は18隻あり、乗客は日本人5723人、外国人9949人、乗員は7641人の合わせて2万3313人に上る。
1人当たりの平均消費額は全体が9666円で、ツアーの乗客が1万4026円、フリーの乗客が9135円、乗員が6925円という状況。
ツアー客の場合はオプショナルツアーの代金が7847円とおよそ半分を占め、買い物代に4579円、飲食費に1216円などを消費した。
フリー客は買い物代3586円、飲食費2757円、レンタカー代を含む交通費2482円、乗員は買い物代4486円、飲食費1769円、交通費649円などを使っている。
買い物代のうち最も消費額が高かったのは水産品で、逆に農産品・乳製品は消費額が低く、酪農のイメージが伝わっていないことがうかがえる。
直接効果は2億2000万円余りだが、市内での原材料生産増につながった1次波及効果は5600万円余り、これらの生産増が雇用者の所得増や市内での消費増をもたらした2次波及効果は4500万円余り。
総合効果は、漁業などの第1次産業が約1500万円、製造業などの第2次産業が約1400万円だったのに対し、運輸・通信業やサービス業、商業が含まれる第3次産業は約2億9500万円と圧倒的に大きかった。
この結果を踏まえ、市と同センターは地元産品を積極的に販売するなど1次、2次産業にも波及する取り組み、買い物できる場所の確保や市街観光の魅力向上、どんな属性の顧客からも満足されるような取り組みを進め、より波及効果を高めていく必要があると分析している。