北海道事業引継ぎ支援センターの新宮隆太氏に聞く

2019年04月20日 12時00分

会社の弱み補完し強み伸ばす 事業承継へM&Aも

 国内企業のほとんどを占める中小企業で、事業承継問題が深刻化している。今後10年で70歳以上の中小企業・小規模事業者経営者は約245万人に上り、その半数で後継者が未定とされている。国は今後10年を「集中実施期間」として承継の推進施策を展開。公的機関としてサポートに当たっている、北海道事業引継ぎ支援センターの新宮隆太統括責任者補佐に現状や打開策を聞いた。(建設・行政部 佐々木陽一)

 ―道内での事業承継の状況は。
 北海道は60歳以上の経営者割合が都道府県別で4番目に高く、全国を9ブロックに分けた後継者不在率では全国ワースト。事業承継が進んでいない地域だ。中でも建設業は、センターに寄せられる相談数からもその割合が高い。

 ―承継が進まない理由は。
 まず、後継者がいなくて困っているというアラートを上げる人が少ないことがある。特に建設業は業界のいろいろな付き合いがあり、アラートを上げるとあらぬうわさが出たり、取引先や従業員に影響が及ぶことを懸念するのだと思う。承継の需要が顕在化していないだけだ。

 一方、建設業は他社を買収したいという要望が他の業界に比べて圧倒的に多い。体力があるうちに技術者を確保したり、経営の柱を太くしたいという思いがあるようだ。

 ただ、M&Aは事業承継の手段としてまだ理解されていない。信金などに後継者がいないので廃業したいという相談が持ち込まれ、よく聞けば廃業すべき会社ではないことが分かる。そこでM&Aの手法を説明すると、初めて進めたいとなる話がよくある。

 ―国などの推進施策はどうか。
 2017年度に事業承継補助金が始まった。社長が若返ると経営革新が起きることが多く、それを支援するもの。初年度こそ高倍率だったが、その後、予算が拡充されて倍率が下がり、使いやすくなった。M&Aタイプだと最大1200万円の補助がある。日本政策金融公庫国民生活事業でも株式取得資金の支援を始めている。

 ―今後必要なことは。
 生産年齢人口が減り、人口も減る状況で、今後は会社の統合が進む。その中で会社を成長させるには弱みを補完し、強みを伸ばす必要がある。そこにM&Aがあり、増えるのは明らかだ。

 ただ、M&Aのノウハウを持っている人は少なく、金融機関や中小企業診断士などM&Aの支援者を増やす必要がある。

 事業承継は重要なことだが、緊急ではないため後回しになりがちだ。しかし、早く着手するほどM&Aの相手を見つけやすい。会社の状況が悪くなってしまっては、承継はもとより廃業もできない。何か困ったことがあれば、センターに問い合わせてほしい。

(北海道建設新聞2019年4月16日付2面から)


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