北海道開発局は、農山漁村地域で道の駅など公共施設を拠点として商品を配送する物流システムの構築を検討している。過疎化・高齢化が進む名寄周辺モデル地域を主とする道内3地区を対象に、地域の物流動態や人員・トラックの配備状況を調査し、地域の物流に関する課題やニーズを見極める。希望する自治体や事業者に、実証実験も打診していきたい考えだ。
開発局は、食と観光を支える農山漁村地域を生産空間と位置付け将来的な維持発展を、第8期北海道総合開発計画に盛り込んだ。2017・18年度の2カ年で名寄周辺、十勝南、釧路の3モデル地域において、地域として優先的に取り組む施策パッケージをまとめた。
このうち、名寄周辺モデル地域においては、スポーツ団体受け入れや観光振興といった施策のほか、物流効率化の必要性を打ち出した。貨物量が少なく、片荷輸送や減便が恒常化しているほか、農産品が主力のため季節差が大きい、トラック・ドライバーの安定確保が困難といった課題が示されている。
同局ではこれら施策を受けて、道の駅や町村役場といった公共施設で積み替えや一括荷受けを担うことで、小規模な宅配などの効率化が可能か検討に着手。8日に企画競争で調査業務の受託者をドーコンに決めた。
調査対象としては輸送課題が浮上した名寄周辺地域のほか、道内2地区を追加で選定する予定。運輸業者の輸送ルートや車両、ドライバー数、公共施設を集積拠点とすることに対する反応などを基礎データとして収集し、有識者からの意見聴取なども実施する。
現状はデータ収集を基本とするが、調査対象地域で実証実験が可能な自治体や事業者が見つかった場合は、実験に取り組むことも視野に入れる。調査は20年3月下旬までに完了させ、5、6月ごろに公表して他地域への浸透も図る考えだ。