全社的にフレックス制を導入 ズコーシャの働き方改革

2019年05月03日 09時00分

男性社員も子育てに参画

 総合コンサルタントのズコーシャ(本社・帯広、関本裕至社長)は、北海道働き方改革推進企業認定制度で初のゴールド認定を受けた。担い手不足やワークライフバランスなどの課題に向き合いながら、いかに独自の取り組みを編み出し、社員に根付かせていったのか。同社で働き方改革に携わる総務部の小森利通次長と松原亜衣子主任に聞いた。

 認定制度は道が働き方改革に取り組む企業を社会的に評価しようと創設し、3月から企業の申請を受け付けていた。北海道働き方改革推進方策の3本柱(①多様な人材の活躍②就業環境改善③生産性向上)を評価するもので、評価項目ごとに1―3点を配点。最高位のゴールドは30ポイント以上が必要で優遇措置として認定表彰されると金融支援が得られる。

働き方改革を推進した小森次長(左)と松原主任

 同社が働き方改革を意識したのは3年前。人材不足の中で育児や介護を理由に退職する女性社員がいたことから、継続して働ける環境づくりを目指して社内部署を設けた。

 取り組みの第一歩として社内で育児しながら働く社員に男女関係なく集まってもらい話し合う場をつくった。育児についての情報共有だけでなく、仕事が育児の障壁となる場面や意見を集め、会社として何かできないかを模索した。

 こうした中から就業環境改善の制度を次々と編み出していく。全社的なフレックスタイム制の導入と時間単位での有給休暇取得を可能にして仕事と家庭の両立を図りやすくした。また一般的に無給休暇扱いとなる看護休暇と介護休暇を有給扱いとした。このうち看護休暇は通常の年5日から年15日に拡充し、対象となる子どもは小学校就学前から中学入学前まで範囲を拡大した。さらに連続休暇制度の導入で年5日の連続休暇を計画的に取れるようにした。

 小森次長は「非正規雇用者を含め多くの社員が活用している。一日や半日でなく時間単位で休めるので中抜けも可能で、時間のやりくりもしやすい」と話す。

 導入に向けては部署長が集まる会議で社内の現況を説明し、社長からのトップメッセージで社員の意識啓発を図った。「2017年度から試験導入し社員へのアンケートも取った。初めは戸惑った人もいたが、制度自体は9割近い社員から好評を得た」と振り返る。

 社内教育にも力を入れた。技術士などの資格取得では社内勉強会の開催や過去問の添削、外部講習の費用助成など制度の整備を進めた。新入社員には年齢の近い社員をつけて意見交換するトレーナー制度を導入。仕事を教えるだけでなく、仕事に関することを文章で情報交換する。

 松原主任は「口では言いづらくても文章だと伝えやすいこともある。内容は先輩だけでなく上司や社長にも届くので、後輩の素直な思いが上まで届くし、自分が気付けなかったことも分かる」という。職場の風通しを良くする効果もあるようだ。

 大きなポイントは制度が男女関係なく使えること。「女性だけが優遇される制度だと心苦しくて使いにくかった」と話す松原主任。男性社員や役員が制度を活用し積極的に子育てや介護に参画することで、女性社員や若手社員も気兼ねなく使えるという。

 携わった2人は道内初のゴールド認定を光栄に感じている。小森次長は「働きやすい、働いてみたい会社を目指していく良いきっかけになった。今後も時間限定社員やテレワーク導入など多様な人が働けるよう工夫していきたい」とさらなる働き方改革推進を目指している。(帯広)

(北海道建設新聞2019年4月25日付1面より)


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