大規模修繕をサポート 北工房がMSコンサル業務開始

2019年05月08日 15時00分

 北工房(本社・札幌)は、マンション管理組合向けのコンサルティング業務を始めた。修繕積立金の根拠となる長期修繕計画の妥当性を判断したり、大規模修繕の周期が適切かどうかを助言する。個人向け不動産コンサルティングを営む、さくら事務所(同・東京)とライセンス契約を結び、北海道地区での事業を開始。建物の老朽化と所有者の高齢化という悪循環が広がろうとしている中、人と不動産のより幸せな関係を追求するため、中立性を保ったセカンドオピニオンとしての立場を確立したい考えだ。

北工房の栃木社長(左)と、さくら事務所の大西社長

 さくら事務所は、1999年に設立した第三者による個人向け不動産コンサルティング会社。不動産の調査や仲介のほか、耐震診断や施工品質チェックなどホームインスペクション(住宅診断)事業を手掛ける。

 2016年にマンション管理組合向けサービスを始めた。老朽化物件の増加を背景に、ここ数年で事業は拡大。関西や九州、東海地方に拠点を設けている。

 大西倫加社長は「急拡大の背景には〝2つの老い〟がある。建物の老朽化に加えて所有者自身も年を取り、理事会運営がままならなくなったり、収入減から管理費の滞納が続いたりしている。その結果、管理会社が手を引き、自主管理せざるを得なくなった分譲マンションは少なくない」と説明する。

 北工房は19年3月、北海道地区を対象としたマンション管理組合向けコンサルティング業務について、さくら事務所とライセンス契約を締結。持ち前の建築設計とファシリティマネジメント、ホームインスペクションなどの技術・ノウハウを生かし、5月から本格的に事業を始めた。

 コンサルティングメニューは7項目を用意。マンション共用部分のチェックから管理組合顧問業務まで幅広く手掛ける。

 メインは大規模修繕に関するコンサルティング。施工会社の選定を支援するほか、工事の内容や費用が適切かどうかを一般的な視点から判断する。

 〝100年マンションパスポート〟として、長期修繕計画の見直しや作成もサポートする。築年数と共に増える設備などのメンテナンス費用に対し、所有者が高齢化しても困らないよう現役世代のうちに多めに設定するなど、積立金が潤沢になるようアドバイスする。

 「マンションストックの未来は、管理の質を上げることで資産性が高まるという、所有者メリットの追求にある」と大西社長。北工房の栃木渡社長は「北海道の建築環境の向上を目指すプロ集団として、さくら事務所と連携を深めながら、人と不動産のより幸せな関係を追求したい」と話している。


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