沈下修正へ最適な工法を 曳家岡本の岡本社長が講演

2019年05月22日 15時00分

 沈下修正、古民家再生を手掛ける曳家岡本(本社・高知)の岡本直也社長が札幌市内で17日に講演し、地震や豪雨災害で傾いた住宅を直すための6工法について解説した。自社が扱う土台揚げ工法のほか、薬液樹脂注入工法や発泡ウレタン工法などのメリット・デメリットを紹介。北海道胆振東部地震で被害を受けた札幌や厚真の人々を念頭に、最適な工法選びのポイントを伝えた。

曳家岡本の岡本社長

 岡本社長は1960年高知県生まれ。18歳から父のもとで修行し、父の病を機に27歳で親方になる。東日本大震災以降は宮城県石巻市から広島県まで広く施工実績を重ね、千葉県浦安市災害本部にも招へいされた。施工例では、グッドデザイン賞に選ばれた石巻市の桑浜小(現モリウミアス)修復などがある。

 講演は、日本ホームインスペクターズ協会北海道エリア部会の主催。胆振東部地震の被災者に参考にしてもらおうと、薬液樹脂注入と発泡ウレタン、耐圧板、アンダーピニング、サイドピニング、土台揚げの各工法を解説した。

 薬液樹脂注入工法は住宅の下に薬剤を打つことで容積率を高め、家ごと持ち上げる原理。推進工事やトンネル工事の技術を転用した工法で、薬剤はケイ酸ソーダや水ガラス、コンクリート硬化剤などを使う。専業では平成テクノス(本社・東大阪市)のJOG工法が有名で、胆振東部地震関連でも施工実績を持つことを紹介した。

 沈下修正しながら地盤のN値(標準貫入試験値)を上げられるのが利点。一方で地中の水脈などが影響し、施工する住宅と関係のないところに薬剤が流れる場合もあり、隣地と近接する施工環境では注意が必要だと説いた。

 発泡ウレタン工法は現場で硬質ウレタン樹脂を発泡させ、盛り土体を構築する工法。日本ではメインマーク(本社・東京)とアップコン(同・川崎)が主に展開している。外見の土間は平らでも、中に空洞がある場合があるため、住宅には不向きと指摘。一方でスーパーマーケットやホームセンター、野菜集荷場など大空間は有効だと話した。

 耐圧板工法は、2000年の鳥取県西部地震をきっかけに開発された工法。基礎下部に厚さ16㍉程度の鉄板を敷設し、ジャッキによって家屋を持ち上げる。立ち上がりや柱部など上部構造に疎い業者が手掛けると、荷重を受けてはいけない箇所に負荷が掛かり、かえって住宅に悪影響を与える場合もあるという。

 アンダーピニング工法は、建物の基礎直下や外周に小口径の鋼管杭を設置し、建物を支持しながら杭の反力で沈下修復する工法。費用が1200万円ほど掛かる高額な工法のため、慎重な判断が一層必要だという。特に杭へのさびの影響から、水位は重要な要素になると説く。

 サイドピニング工法は、基礎回りに鋼管杭をジャッキで圧入または回転貫入させ、その反力でジャッキアップする工法。建物が軽く、剛性の取れる場合に有効な修正方法と示した。

 土台揚げ工法は、基礎を残し、木部の土台から持ち揚げて沈下や傾きを修正する。規模や施工地域によって異なるが、200万―300万円ほどの費用で直すことができるという。鉄骨を組んで住宅を一度持ち上げ、その下で基礎を作り直す上腰工法もある。

 修正の精度が高く、建物に与える損傷が少ないのが特長。作業が可視化されるので、うそや手抜きが一切通用しない。

 岡本社長は「北海道で相談を受けても即動ける状態ではないが、ホームページからメールを送ってくれれば、無償で答えたいと思っている」と話していた。


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