小型・中型風力発電機大手の上海致遠GHREPOWER(本社・上海)は、新型小型風力発電システム「FD16―19・2㌔㍗」を日本市場に投入した。低風速域でも発電効率が高く、低騒音に仕上げた。国内の小型風力発電機で事故や故障が相次いだことから、AIによる故障予知システムを搭載する。世界市場でシェア上位を占める同社の影響力を、日本の再生可能エネルギー市場で発揮する考えだ。
上海致遠GHREPOWERは、2006年に設立。自社で一体設計・開発する風力発電システムは、安全性と耐久性に優れ、米国、イタリア、カナダなど20カ国以上に導入。小型・中型風力発電の世界市場でシェア上位に就いている。日本国内では、今後系統接続するものを含めると約300機が導入されている。
日本での小型風力発電機は、出力規模20㌔㍗未満の規制がある。大型機より設置が容易で計画から据え付けまで短期間で運用できる。
設置面積が小さいことから、地産地消の分散型電源やバッテリーとの組み合わせによる非常用・防災用としての普及が進んでいる。
導入が容易な一方で、製造元の気候に合わせて作られた海外製の小型風力発電機は、故障や部品の落下が課題だ。日本の台風や乱流した風にも対応できる安全性の高い製品として同社が新製品を開発した。
日本の多くの地域で吹く低速域の風でも高い発電効率で稼働する新規発電モーターを採用。年間平均風速毎秒6mの環境で、8万2300㌔㍗時の発電量を確保する。低騒音ベアリングを使用した音の静かな風車は、発電機から約150mの環境で38と低騒音を実現している。
国内で導入済みの従来機で培った自然災害への高い安全性も引き継いだ。徹底したねじの緩み止めなど基本に立ち返った対策で、相次ぐ超大型台風直撃に高い耐久性を見せている。
運用面では、18年9月に発生した北海道胆振東部地震の際、道内で運用中の同社製品全機が自動で安全停止し、電力系統復旧後に自動回復に成功している。
目に見えない故障に対応するため、新たにNTTデータCCS(本社・東京)が開発したAIを活用した故障予知システムを搭載。発電機に搭載した特殊マイクが故障や事故の予兆につながる振動や音の変化を24時間監視し、AIが異常音を検知すると自動通知する。
同機は他社の機種から機種変更が可能で、6月の設備認定取得を目指し海事協会に申請中。エネルギーファーム(本社・東京)と千代田組(同)が合同で販売する。
同社は22年までに国内での導入数を2500基に拡大する目標を掲げる。国内導入数の約3分の1を占める本道については、豊かな風力エネルギー資源で大出力の特長を発揮できる最適な場として注目しているという。
今後、道内でアフターサービスセンターと予備品倉庫の設立も計画していて、24時間以内で顧客のニーズに応答できる環境を整えたい考えだ。
ユー・ウェイ社長は、「日本のシェア1位になれるよう力を入れたい」と意気込んでいる。