道内最大級の解体機械が道東地域の現場に初めて導入され、大型建築の解体に貢献している。高層建造物でも解体を効率的に進めることができるなど、作業への人的な介入を抑制。工期短縮や現場の安全性向上につながることから、実際に稼働させている施工業者は「大型機械が果たす役割は大きい」と目を見張っている。
道東初導入となったのは、帯広市内中心部で市川組(本社・帯広)が進めている旧帯広厚生病院の解体現場。日立建機のマルチブーム解体仕様機として最大の180㌧に上る「ZX1800K―3」を採用した。
同機は高さ50mの建物に対応できるブームを搭載し、札幌の月寒グリーンドーム解体でも活躍。協力会社の本間解体工業(本社・札幌)が道内で唯一所有し、今回初めて道東へ送り込んだ。
旧帯広厚生病院は、地下1地上8階、延べ3万701m²の規模。10月末の完了に向け着々と解体が進んでいるが、高さが32mあるため通常の解体機械では力が足りず非効率だった。
しかしZX1800K―3は、増築を重ねて構造が複雑化した病院の隅々までブームが届くことから、作業効率が向上。現場代理人を務める柴田浩二建築部長は「この機械を使わなければ工期が2、3カ月遅れる」と話す。さらに、強い油圧で鉄骨も切れるためガス切断箇所を抑制。危険な作業から人手を隔離でき、安全性もアップした。
分解して運び入れるため輸送車の大量手配や高額な運送費が必要で、広い組み立てスペースの確保という条件はあるものの「スピーディーな施工で工期に間に合わせることができる」(柴田部長)と、難点を覆すほどの効果を実感している。
近年の建築物は耐震性が高く、解体の難度も上がっている。老朽化対策や再開発で解体工事の存在感が増す中、大型解体機械が活躍する場が各地に広がりそうだ。
(北海道建設新聞2019年6月7日付13面より)