ゴルフ場運営の札幌カントリー倶楽部(本社・札幌)が、マレーシアのゴルフ場との提携を拡大している。会員は提携ゴルフ場を優待料金で利用でき、相互の誘客効果が見込める。日本国内のゴルフ人口が減少する中、インバウンド客の獲得と、会員向けサービス向上の〝一挙両得〟を狙う。
札幌カントリーは現在マレーシアの有名ゴルフ場14カ所と提携し、会員同士の相互利用、会員対抗戦の開催などで交流を続けている。優待料金は、施設によっては一般ビジター料金の半額前後になる。
2020年に同国の9カ所と新たに契約し、提携先を計23カ所とする。この中には、通常は会員以外プレーできない高級コースもあるという。
山崎繁樹社長によると、マレーシアのゴルフ場は戦略性に富み、優待サービスはクラブ会員から評価が高い。また、同国のゴルフ愛好家は「アジア諸国の中でもプレーマナーが抜群に良く、当コースに来ても会員とのトラブルがない」。
札幌カントリーの会員組織は横山清アークス社長が理事長を務め、約5400人で構成する。外国のゴルフ事情に詳しい幹部会員が運営会社に提案し、2014年、海外ゴルフ場として初めてマレーシアの「ケラブ・ラーマン・プトラ」との提携が実現した。
その後、施設の増加とともに会員同士の往来が拡大。18年には延べ300人がマレーシアから札幌カントリーを訪れた。同社会員は200人前後が渡航したという。
フライトや宿泊の手配は主に、協力関係にあるマレーシアの日系旅行会社「YOKOSO TRAVEL(ようこそトラベル)」がサポートしている。
予定を含む提携23施設の会員総数は延べ6万5000人に上る。今後は北海道観光の魅力と合わせてコースをPRし、近い将来、マレーシアからの入場客を年間1000人に増やす考えだ。
札幌カントリー倶楽部は1974年設立で、現在札幌市内に3コース、計81ホールを構える。バブル崩壊などを受けて過去に2度経営破綻し、13年から北陸銀行出身の山崎社長が経営再建に当たっている。
かつての低コスト路線から、コース整備に積極投資するなど会員満足度を高める方向に転換し、最近の業績は回復傾向にある。18年の入場客数は約14万人で、13年との比較で約2万人増えた。今シーズンは予約状況から15万人超えを見込んでいる。
山崎社長は「マレーシア人はクラブ対抗戦をやれば30―50人の団体で来道し、4―5泊してくれる。中には実業家もいて、ビジネスへの波及が期待できる。北海道の活性化のためにも彼らとの交流を深めたい」と語っている。