北海道経済連合会は20日、本道の労働力が2030年に26万人分不足するとの労働市場分析を発表した。実質道内総生産(GDP)を15年の水準で保つことを前提に試算。対策として、都市部での就業率アップ、ICT活用などによる生産性の向上を提言している。
分析によると、近年の人口減がこのまま続いた場合、30年の本道就業者は209万7000人と、15年と比べて33万8000人減る。実質GDPは15年の18兆2000億円から16兆2000億円へと2兆円縮小。15年のGDPを30年に実現するためには就業者が235・7万人必要だが、予測では209・7万人と大幅に不足する。
足りない26万人分を確保するため、札幌、函館、旭川など道内6都市での就業者数増加を提言。本道では地方部の就業率は全国平均を上回る一方、6都市では全国を下回り、特に女性や高齢者などに働いてもらう余地が大きい。都市部で労働環境の多様化などを進めた場合には16万9000人の就労者増が期待できるとした。
それでも不足する9万1000人分については、就労者1人当たりの労働生産性を高めることでカバーしなければならないと指摘。分析では、本道の1人当たり労働生産性は01年から15年まで年平均0・22%向上してきたとし、この成長率を0・48%に高める必要があると結論づけた。
生産性を高めるための方法として、作業の機械化、ICTによる省力化などを挙げた。ICT分野を担う人材の育成も重要とした。
このほか外国人材の受け入れ拡大に言及。ことし4月にできた「特定技能制度」によって、今後1万2000人程度の人材確保が見込まれるとしている。
(北海道建設新聞2019年6月21日付の2面より)