大樹で有料自動運転バス/開発局の実証実験が終了

2019年06月29日 12時00分

 北海道開発局が、5月18日から大樹町で実施した自動運転サービス実証実験が21日に終了した。開始から3週間時点では延べ310人が利用し、自民党の二階俊博幹事長ら国会議員も視察に訪れた。実験結果から運行システムや事業採算性などを検証し、将来の自動運転社会実装につなげていく。(帯広支社・太田 優駿記者)

 実験は内閣府の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)の一環でもある。大樹町では前回、2017年12月に6日間の短期間で実験。交通弱者の生活の足の確保、農産品や加工品の配送、観光周遊への効果に加え、積雪時におけるGPS受信感度や走行の安全性を調べ、積雪寒冷地での実現可能性を検証した。

 自動運転バスの実験は全国各地で展開しているが、今回は利用者から料金を徴収する自家用有償旅客運送制度を初採用した。市街地循環便(運賃100円)、北西部の尾田地区と市街地の往復便(同200円)の2路線を設定。自動運転ではないが拠点となる道の駅から帯広市内の商業施設や学校、医療機関などを結ぶ都市間快速バスも17日から試験運行し、広域公共交通の可能性も探った。

 

車内では自動走行の様子をモニターで紹介

 バスの定員は20人で、運転席に座る乗務員は緊急時を除きハンドルから手を離した状態で走行する。最高時速は40㌔ほど。GPSや道路上の磁気マーカーで走路を把握し、信号が変わるタイミングを認識して速度を調節する。またバスに搭載された複数のセンサーで停車車両などの障害物も自動で避ける。

 乗車するには事前に道の駅で利用登録し、QRコードの付いた乗車証をもらい、回数券を購入。電話かインターネットで利用便を予約して乗る。車内には同事業を受託するドーコンの職員が添乗し、乗客に自動運転の仕組みなどを解説する。

 町内に住む松本和美さん(81)は市街地を走るバスが気になって循環便に乗車。「ブレーキが急な部分もあるが、病院まで歩くよりは良い。免許は返納したが、帯広まで行くこともあるので安く実用化されたら便利」と感想を語った。

 バスは病院や福祉施設へ通う高齢者や市街地へ買い物に訪れる町民が多く利用。通学の足とする学生もおり、町から帯広市内の学校に通う高校生は自動運転バスで自宅近くの停留所から道の駅まで来て、都市間快速バスに乗って学校へ向かった。

 今後は正確な乗車人数や収集したデータ、アンケート結果を取りまとめる。結果は夏に開催を予定する地域実験協議会で公表し、自動運転によるビジネスモデルの構築や高齢者など交通弱者への対策に活用していく。

(北海道建設新聞2019年6月24日付1面より)

 

 


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