2019年度の全国安全週間が1日から始まった。近年は陸上貨物運送事業や第三次産業の事故増加率が高く、転倒や熱中症を中心とする労働災害の発生が目立つ。一方、快適かつ安全な作業に不可欠な作業着や安全靴は、大手スポーツメーカーの参入などによってファッション性が一層高まっている。労働環境の安心・安全に役立つグッズやサービスの動向をさまざま見てみた。
本年度の全国安全週間は「新たな時代に PDCA みんなで築こう ゼロ災職場」がスローガン。建設業の労働災害防止対策は、フルハーネス型墜落制止用器具の積極的な導入や、請負契約での適切な安全衛生経費の確保などを掲げている。
安全帯の規制に関する改正政省令が19年2月に施行し、話題に上ることが多くなったフルハーネス型の墜落制止用器具。建設業労働災害防止協会(建災防)は、フルハーネス型墜落制止用器具への改修や買い替えに係る経費の一部をみる「既存不適合機械等更新支援補助金」を用意する。中小企業を対象に購入費の半分を補助する見込みで、第1回の申請受け付けは月内を予定している。
大手スポーツメーカーが参入するなど、年々ファッション性が高まっている安全靴。アシックスは、ワークシューズとして建築・土木のほか、整備・カーディーラー、運送など業種別にさまざま用意。価格帯は1万円前後で、スポーツシューズに採用している衝撃緩衝材「GEL(ゲル)」を靴底かかと部に搭載するタイプもある。
ワークショップのプロノ札幌本店では、アシックスやミズノの安全靴を多数用意。売れ筋はミズノのオールマイティTD11Lで、うちホワイトは完売によって入荷待ちの状況だ。価格重視の人をターゲットにした税抜き1990円の「プロノレッドラベルセーフティー」も売れているという。
江別市野幌や苫小牧で目撃情報が相次ぎ、注意が必要なヒグマ対策。山中の見通しが悪い場所では、空のペットボトルを握りつぶしたり鈴を鳴らしたりしながら、自分の存在を音で知らせるのが有効。至近距離での遭遇に備え、クマ撃退スプレーの携帯も効果的だ。
鳥獣対策では、ノボル電機(本社・大阪府枚方市)の拡声器「逃げーるぞ!ザ・マシンガン」が変わり種だ。マシンガン音をランダムに再生して鳥獣を驚かせるアイテム。ボタン1つでマシンガン音とメガホン機能を切り替えられる。火薬を使わない安心・安全な対策グッズだ。道内は北海道つくし工房(同・札幌)などが扱っている。
暑さの厳しい夏を乗り切るには熱中症対策が必須。中でも、点滴と同等の効果を得られる経口補水液は主流になり、大塚製薬工場(本社・徳島県鳴門市)のOS―1や味の素(同・東京)のアクアソリタ、日本コカコーラ(同)のアクエリアス経口補水液など種類が豊富だ。
この季節は、天気の急変に備えなければならない。ウェザーニューズ(本社・千葉)とKDDIは、IoTクラウドサービス「KDDI IoTクラウド 作業員みまもり+天候予測」のアラームにカスタム機能を追加した。
5分毎に更新される1㌔メッシュの超局地的気象モデルと、作業員が携行する気象センサーで得る気象情報を組み合わせることで、悪天候を予測するサービス。バージョンアップによって雨雲と強風、熱中症のアラーム3つにカスタム機能を追加し、現場の作業内容に適したアラーム送信を可能にした。