野外科学がベトナムの環境問題改善へ 現地法人を設立

2019年07月05日 12時00分

 野外科学(本社・札幌)は、ベトナムに環境調査・分析の現地法人を設立する。技術移転と人材育成を通じて同国の環境問題改善につなげたい考えだ。

 会社名は「Sigma Environmental Services」。事業内容は環境アセスメント、技術検査・分析サービス、科学・技術に関連する相談サービス、学際的な研究・開発のサービス―の4つ。

 2013年、ベトナム・ホーチミン市工科大地質学部のダン・トゥン・フィン講師から、米軍基地跡地の土壌ダイオキシン濃度の分析ができないか、北大を通じて依頼されたのをきっかけに交流が生まれた。

 榊保二会長は、ベトナムの環境問題について意見交換を重ねるうち「自社の分析力を生かせるのではと思った」と明かす。18年から設立準備を開始。ビジネスチャンス拡大を狙う一方で「日本の進んだ環境技術を移転させることが大事」とも考えている。

 1992年にはネパールに会社を設立。現地に技術移転し、人材育成につなげている。ベトナムの現地法人設立で、互いの行き来により技術交流を図ることを視野に入れている。

 ことし4月、ホーチミン市工科大との間でバイオマス、農業環境など幅広い環境技術分野での人材育成や研究・技術開発、新規業務の開拓などで協力する契約を締結。この一環としてバイオマスラボで使われていない機械を再び活用できるよう、技術指導などをする。

 フィン講師に関し、榊会長は「信頼がおける優秀な人。彼女がいたからさまざまな決断ができた」と話す。

 2日にはフィン講師の講演会を同社で開いた。社外の参加者を含め約60人が聴講。「美しい自然を維持するためにも環境を守ることは大事」と強調し、環境調査と適切な管理の必要性を指摘した。

 ホーチミン市内のガソリンスタンド周辺の表層分析といった、これまでの研究を説明。現在は海岸地域の工業化が及ぼす地下水への影響に関する調査などに取り組んでいると説明した。

歓迎会でフィン講師(左)と交流を深めた(=2日)

 講演会終了後は、フィン講師の家族を含め歓迎会を開き、交流を深めた。

 6月に現地法人設立ライセンスが下りたばかり。機械導入や現地での人材採用の準備などを経て、年内開業を目指す。経済成長著しいベトナムは、農業や工業が盛んな一方、土壌汚染といった環境問題が生じている。

 社長に就くフィン講師は「高い精度の分析をやりたい。ゆくゆくは分析データを通じて政府の政策決定にも関わっていければ」と目標を掲げる。


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