企業ファイル 激動に挑む経営者たち

空調管理技術生かし霊芝の一貫生産 央幸設備工業

2019年07月16日 09時00分

マンネンタケの栽培風景

 空調・給排水設備の央幸設備工業(本社・札幌)は、持ち前の空調管理技術を生かし、健康食品素材として国内外で注目度の高いマンネンタケ(霊芝)の栽培に取り組んでいる。北広島と美唄に工場を持ち、最近は農林水産省の認証基準「有機JAS」を取得。植菌から微粉末製造に至るまで自社一貫生産体制を構築した。尾北紀靖社長は「今後も代替医療の主役となるよう商品レパートリーを増やし、健康面で困っている人に喜んでもらえるよう努力したい」と話している。

 1968年創業。建設不況を背景にソフトランディング対策(新分野進出)の一つとして、2004年からマンネンタケの培養と栽培の実験を始め、新規バイオ事業部を北広島工場で始めた。

 霊芝はマンネンタケ科に属するキノコ。ベータグルカンなどの成分を含み、アジア圏では漢方や煎じ茶の希少材で古くから珍重されてきた。免疫力を高め健康維持に効果があるとされ、機能性食品などに用いられている。

 同社では空調管理技術を生かし、06年に人工栽培に成功。その後、産業技術総合研究所(産総研)と共同研究を重ね、マンネンタケの免疫有効成分を高度含有する子実体の人工培養方法を確立する。

 栽培には温度と湿度、二酸化炭素、水分の微妙な調整が鍵を握る。そのノウハウは、本業で築き上げた空調設備の施工技術がベースだ。新分野進出から15年ほどが経過しようとしている現在、尾北社長は「央幸設備のバイオ事業として立ち上げ、空調分野で培った自分たちの基盤技術が使えたのが成功の秘訣(ひけつ)となった」と振り返る。

 「中小企業はヒト、モノ、カネで大企業に太刀打ちできない。みんなのやっていることをやっても成功せず、他社が苦手とすることにビジネスチャンスがある」

■国内外の製薬会社向け納入を強化

 事業拡大で北広島の研究所兼工場が手狭になったため、15年には美唄市から廃校となった土地と建物を買い取り、事業推進のため美唄支店[MAP↗]を設置した。マンネンタケの生産だけにとどまらず、地方創生や地域振興、雇用創出などの地元を巻き込んだ活性化が目的。地域経済への貢献を考え、1億円の投資を決断した。

美唄工場の全景

 17年には北広島と美唄の両工場で、農水省の有機JAS認証を取得。同社によると植菌から培養、栽培、乾燥、微粉末製造までに至る13工程の自社一貫生産で、同認証を取得したのは国内初だという。

 一貫生産の強みを生かし、マンネンタケのチップや粉末のほかに、カプセル、タブレット、ティーバッグなどを製造。原料単位で約6000㌔㌘を生産していることから海外の見学者も多く、製薬会社や加工販売会社、自治体から多数の人を招いている。

 現状は70%余りが海外輸出で、国内販売は25%。18年には産総研と共同出願していた特許が認められ、バイオ事業に弾みがついた。今後は販路拡大のため日本健康・栄養食品協会のGMP(適正製造規範)認定を20年度に取得し、国内外の製薬会社向け納入を強化しようと考える。

 尾北社長は「これからも人工培養の特許技術によって高齢者の免疫力を高めながら末病を治し、元気で長生きできる代替医療の主役となるよう社会貢献したい」と話している。

(北海道建設新聞2019年7月8日付3面より)


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