3カ年緊急対策後も着実な推進必要
全国47都道府県の知事らが参加する全国知事会議が23日、富山市内で開幕した。この中で防災に関して、北海道胆振東部地震や西日本豪雨といった昨年の大規模災害を踏まえた提言を採択。長期的視点で取り組むべき防災対策で、3カ年緊急対策後も着実に国土強靱(きょうじん)化を図るための制度設計を国に求めるほか、緊急防災・減災事業債の恒久化、水道施設強靱化を図るための補助対象拡大と補助率かさ上げなども要望する。長年の懸案となっていた被災者生活再建支援制度を半壊世帯まで拡充することも要請していくことを決めた。
この提言は、昨年の地震や豪雨で被災した道府県による災害対応の検証結果を踏まえて「来たるべき大規模災害に備え教訓に基づき行動するための提言」として取りまとめたもの。南海トラフ地震や首都直下地震など、国難レベルの巨大災害に備えて防災・減災の基本的考え方を見直し、対策を新たなステージに進化させることを訴えている。
提言の中で、国土強靱化についてはソフト面とともに、河川改修や土砂災害対策などによって災害発生を抑止し、発生した場合も被害を最小化するためのハード対策を積極的に推進する必要性を強調。2018年度から防災・減災、国土強靱化のための3カ年緊急対策を実施しているが、河川改修や堆積土砂除去、土砂災害、ため池改修・廃止、水道施設改修などは長期的に取り組む対策でもあることから、緊急対策終了後の取り扱いに配慮を求めている。
このほか、堤防決壊した河川における河道掘削や築堤改良、既設護岸の材質改良、土砂災害対策の計画的推進のために必要な予算確保を要請。長期断水への対策で浄水機器を応急的に提供できる体制整備、激甚災害が適用された場合の補助率かさ上げの対象要件を地域実情に合わせて緩和することを盛り込んだ。
また、被災者の生活再建支援制度が現在、自宅が全壊または大規模半壊した場合に最大300万円を支給している。会議では「地域コミュニティーの再建に住宅再建は欠かせない」(谷本正憲石川県知事)など、対象を半壊まで拡充する意見が相次いだ。