深掘り

 地域経済の成長には、新たな技術シーズを生み出すだけではなく、その技術を発展させたビジネスの創出が欠かせません。〝勝ち〟にこだわる経営者らの発想やアイデアを紹介します。

深掘り カレスサッポロ 大城辰美理事長

2019年07月28日 15時15分

大城辰美理事長

異業種へ積極的に参入

 札幌総合卸センターの再整備に伴い、中央区北6条東3丁目の敷地約1万2000m²を2020年にも取得する社会医療法人社団カレスサッポロ(本部・札幌)。北海道新幹線札幌駅ホームが近くにできる好立地な場所に、病院や商業などの機能を備えた複合施設を構想する。診療報酬の見直しや人材不足などで道内の病院事業は厳しい環境に置かれる中、積極的に異業種への参入を試みる大城辰美理事長に、新施設の考えや医療業界の動向などを聞いた。

 ―取得する北6条東3丁目地区では、どのような施設を描いているのか。

 時計台記念病院250床と北光記念病院145床の移転統合を考えている。規模的には容積率や駐車場など考慮すべき課題があるが、最低でも300床以上にしたい。病院は脳疾患や心臓疾患、がん疾患を中心とした医療サービスを提供するとともに、救急医療にも取り組み、地域医療に貢献できればいい。

 全室個室(トイレ付き)とし、特別室以外は室料差額を無料とする方向で検討している。大部屋だと個室に比べて建築コストは安価だが、インフルエンザなど感染症が発生して入院制限がかかると運営上の影響は大きい。また、仮に男部屋が満室の場合、男性患者の新規入院は受け入れられないので病床利用率100%は困難といえる。

 一方、個室にすれば、感染症や入院制限は最小限に食い止められるし、JR札幌駅に近いアクセス性の良さから地方の患者を見込める。同室者の目を意識することなく長時間面会できるため、精神面に良い効果が生まれ、早期退院につながる。

 敷地内には病院以外の別の建物にコンビニエンスストアやドラッグストア、飲食などのテナントを誘致し、周辺のにぎわいづくりに貢献したい。これから設計事務所の選定をして21年秋ごろの着工を予定している。

 ―移転後の2病院はどのように活用するのか。

 時計台記念病院の本館は旧耐震であることから、解体してオフィスビルかパーキングビルの建設を予定している。アネックス館は全室個室であるためクリニックや厨房(ちゅうぼう)、リハビリ室を設けるなど改修し、高齢者施設として活用したい。北光記念病院については、1階部分に隣接する北光記念クリニックを移転させ、病床がある上階を高齢者施設に改修する予定。時計台記念病院に隣接しているカレスサッポロビルは当面現状通りで運営する。

 ―病院以外にホテル運営や不動産取得など異業種進出をしている。

 私どもは国内で初めて社会医療法人の認可を受けた。医療介護を含め農業や漁業、林業など13業種の事業ができる。病院新築により患者やスタッフが増え、経営的に良くなるといった明るい展望は持っていない。建築しなければならない状況に追い込まれたため決断したのが本音だ。

 現行の診療報酬のみで高騰した建築費を賄うだけの収益を生み出すことは困難。医療以外の新たな収益源を確保しなければ経営的に苦しくなり、理想とする医療サービスは提供できない。

 法人が持つ潜在能力を最大限に高め、病院と異業種を融合させた新たな経営を模索している。(聞き手・武山勝宣)

 大城辰美(おおしろ・たつみ)1955年12月14日生まれ、沖縄県出身。2010年8月にカレスサッポロの理事長に就任。

(北海道建設新聞2019年7月10日付2面より)


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