空知総合局産業振興部は29日、石炭ズリの有効活用に向けた現地研修会を栗山町で実施した。同部では、暗渠の疏水材として地域から発生する石炭ズリを活用することを検討しており、研修会は土地改良区などの職員に広く石炭ズリを周知するために初めて開催。同部では2020年度まで実証試験を進め、本格活用に向けた道筋を付けたい考えだ。
石炭ズリとは、石炭を掘り出す際に出てくる細かい砂利のこと。管内の夕張市には石炭採掘時に発生した石や土砂を堆積したズリ山が多数存在しており、市内では15年度からズリに含まれている石炭を採取する水洗選別機を導入し、石炭は発電所などの調整燃料として、石炭以外の「水洗ズリ」は、ズリ山に隣接する沼の埋め立て材として活用している。
現在石炭を採取しているズリ山に含まれる石炭は約3割とされており、水洗ズリは年間約6万立方㍍発生し、3300万㌧のズリがあると推測されている。石炭以外の小粒径の水洗ズリは、材料試験の結果から、暗渠の疏水材として以前から活用している「ビリ砂利」と同等の資材で、溶出試験・含有量試験の結果から、土壌汚染にかかる基準値を下回っており、安全性も問題なく疏水材として活用できる可能性があると判明。水洗ズリは年間3万立方㍍程度が供給できる見込みで、こうした状況を知った同部では活用に向けた検討を開始した。
ただ、水洗ズリの資材としての可能性は高く、長期的な安定供給も見込まれている一方で、疏水材に求められる機能や地域環境への影響などはまだ評価されていないことから、同部では実証ほ場で疏水材としての適性を確認する作業を開始した。この日の研修会は土地改良区などの職員にまずは石炭ズリについて知ってもらおうと開催。研修会には、南空知地域を中心とした土地改良区や土地改良センター、同部の職員ら約70人が参加した。

石炭ズリの活用に向け参加者は関心を示していた
実証ほ場として作業を進めているのは栗山町の経営体継立北部地区41工区で、参加者は現地で粒径5㍉の小粒径と、粒径5―25㍉のズリを見学。参加者はズリを触ったり、施工作業の様子を写真に撮ったりした。
また、見学後はズリを採取する夕張市の民間企業担当者が石炭ズリについて説明。参加者からは運搬方法などに関する質問などが挙がった。
同部では、石炭ズリの調査を19―20年度の2カ年で実施。19年度は施工性や施工後の排水性の確認、土壌への影響など水質調査を行うほか、室内試験で実際に水を流して疏水材としての耐久性、持続性も確認する。20年度は作付け後の排水性の確認や水質調査を継続して進める考えだ。
研修会を実施した同部の担当者は「参加者からは〝いつから使えそうか〟など今後を見据えて関心が高い様子だった」と話していた。同部では、分析結果がまとまり次第、公表していく考えだ。