深掘り

 地域経済の成長には、新たな技術シーズを生み出すだけではなく、その技術を発展させたビジネスの創出が欠かせません。〝勝ち〟にこだわる経営者らの発想やアイデアを紹介します。

深掘り 在日カナダ大使館商務担当参事官 ジュリー・ポワリエ氏

2019年08月05日 18時00分

ジュリー・ポワリエ商務担当参事官

企業連携、第三国進出を

 在日カナダ大使館(東京)のジュリー・ポワリエ商務担当参事官が、このほど札幌で北海道建設新聞社の単独インタビューに応じた。同国は建設業にとって、マツ、モミなど構造用木材の主要輸入元として知られる。参事官は本道企業に向けて、カナダ企業と連携して第三国に進出することを呼び掛ける。

 ―カナダと本道にはどんな交流があるか。

 姉妹都市や友好提携がとても多い。日本・カナダの2国間で地域同士の交流協定が計75件あるうち、北海道は26件と実に3分の1を占める。1965年に釧路市とブリティッシュ・コロンビア(BC)州バーナビー市が友好提携を結んだのが道内第1号で、交流の歴史は半世紀以上に及ぶ。

 ―本道との貿易状況は。

 カナダからの輸出額1位は肥料に使う塩化カリウムで、北海道農業を60年支えてきた。これに次ぐのが建設業界向けのマツ材、モミ材などだ。これらにOSB(配向性ストランドボード)などを加えて広く建設資材と捉えると、輸出分野としては最大だ。

 ―カナダの建設業界では今何が話題か。

 カナダが森林資源に恵まれているのはよく知られているが、特に今BC州が、地球環境保護と林業振興の観点から「ウッド・ファースト」という政策を実施している。この目玉の一つは木造の公共施設を増やすことで、実際に州内に大型施設が次々と着工、完成している。2017年には地元の大学で18階建て、高さ53㍍の学生寮が完成した。木造建築として世界一の高さだ。

 ―本道建設業はカナダとどんなビジネスが考えられるか。

 ハイレベルな設計、施工技術を持つ北海道企業と、木材などの優秀なカナダ企業が手を組んで、第三国で仕事をすることを提案したい。カナダ企業は技術力のみならず、米国や欧州を中心に世界に取引ネットワークを持っていて、連携すればチャンスが広がる。

 ―日本の中小企業が海外ビジネスを検討するとき、名前が出やすいのはアジア諸国だ。北米はハードルが高いと見られがちではないか。

 日本企業が近隣のアジア諸国に関心を向けるのは自然で、それを否定するつもりはない。カナダ企業にしても、隣の米国との取引が9割を占めている。言いたいのは、将来を見据える日本の経営者にとって、事業領域をアジアに限定するのは得策でないだろうということ。次なるステージとして、北米も視野に入れてほしい。

 ―今カナダに進出しているのはどんな日本企業か。

 筆頭は自動車メーカーと関連部品メーカー、またエネルギー関連企業だ。食分野も増えていて、北海道からもラーメンの「山頭火」「鷹の爪」、ほかに菓子のルタオも出店している。ちなみにカナダの有名なビール会社、スリーマンは今、日本のサッポロホールディングスの傘下にあり、日本人おなじみのサッポロビールを現地生産している。

 ―道内でカナダのビジネス情報は得られるか。

 私たちは01年から札幌に通商事務所を置き、日本人職員に2人常駐してもらっている。具体的な現地企業の紹介も可能なので、何でも気軽に問い合わせてほしい。(聞き手・吉村 慎司)

 ジュリー・ポワリエ ケベック州モントリオール市出身。HEC経営大学院で修士号取得、コンサルティング会社を経て2006年にカナダ外務貿易国際開発省に入省。北京勤務などを経験した後15年に在日カナダ大使館に第一書記官兼トレードコミッショナーとして赴任。18年12月から現職。

(北海道建設新聞2019年8月2日付2面より)


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