建設新聞で読み解く あのときの札幌

シリーズ「建設新聞で読み解く あのときの札幌」

 1960、70年代の札幌では、ダイナミックな建設投資が行われ、今日の発展を支える多くの都市施設が整備されました。当時の様子を北海道建設新聞の記事とともに振り返えるこの連載は「e-kensin」限定の企画です。

第19回「五輪を支えた都市施設〈道路②〉」

2019年08月18日 09時00分

 今回は札幌市が事業主体となった道路整備をたどってみる。1967~72年度の6年間に19路線を整備し、工事費(請負費)ベースで85億4500万円を投じた。創成川通のアンダーパス化、豊平川の両岸堤防を活用した豊平川通の築造、市内を循環する環状通の整備もこの時に始まっている。

 受注トップは地崎組

 1971年12月の2、4日付では、市が整備を担った19路線の各工事名と施工した業者名、請負金額を掲載した。72年2月開催の冬季五輪が迫る中、関連道路の整備は「全工事とも完成あるいは完成を間近かにしている」(71年12月2日付)と記事は伝える。 

市が発注した道路整備の施工業者などを伝えた1971年12月2日付

 両記事を分析すると、工事総数は289件で、85社が受注。請負額は全体で85億4500万円に上る。

 北海道建設新聞らしく、ランキングで示すと、トップは15件を受注した地崎組(のちの地崎工業)で、5億2024万円。2位は13件、4億7283万円の岩田建設(現在の岩田地崎建設)、3位が2件、3億6900万円の東京鉄骨橋梁製作所(現在の日本ファブテック)、4位が2件、3億5300万円の日本高圧コンクリート、5位には8件、3億973万円の道路工業が入った。以下、熊谷組、田中組、札幌土建工業、大成建設、勇建設と続く。

 路線別の請負額は、42件、15億9374万4000円の環状通が最も多い。2位は56件、13億9835万5000円の豊平川通、3位は19件、11億2104万5000円の創成川通、4位は15件、7億9015万円の米里通(現在の南7条・米里通)、5位は34件、6億4737万8000円の北24条通となっている。

 都心初のアンダーパス

 主な路線の事業内容を見てみる。

 まずは創成川通。対象区間は、国(北海道開発局)が施工した創成川幹線(札幌新道―北4条間)の終点から南進し南6条に至る1390mで、8車線(片側4車線)の改良を行った。

 構成は、創成川の両側に各2車線を配置し、国道36号(南4条通)、国道12号(北1条通)との交差部などに当たる南2条―南5条間、北3条―大通間の2カ所に札幌都心では初となるアンダーパスを整備。これに合わせ、アンダーパス外側にそれぞれ2車線を設けた。

 工区は4つに分かれ、岩田建設、大林組、熊谷組、地崎組がそれぞれ受注。豊平製鋼による南大通横断歩道橋もこの時期に整備されている。

 同区間はその後、2004~09年に行われた創成川通アンダーパス連続化事業によって、片側2車線ずつを地中化した延長1078mの「創成トンネル」に生まれ変わっている。

2009年3月に開通した創成トンネルの南進側入り口(2019年8月に撮影)

 準高速の豊平川通

 創成川通を南進すると、豊平川の両岸堤防に整備された豊平川通に接続する。五輪の期間中、真駒内と美香保、手稲の各会場を結ぶ輸送路として利用された同通は、取り付け道路を少なくすることで準高速化を図った。

 その起点は、米里通整備の一環として新設した南7条大橋(延長286m)との交点。南進する右岸、北進の左岸とも2車線とし、真駒内の藻岩橋と結んだ。56件の工事件数は19路線で最も多く、25社が受注している。

堤防に整備された豊平川通の左岸線(2019年6月に撮影)

 環状通は一部に着手

 環状通は「1バイパス1環状5大放射」を基本とする市の道路網計画のうち、1環状に当たる全長22.7㎞の骨格道路。北15条西4丁目を起点とし、東に進んだ後、豊平川を渡り、菊水、白石、美園、平岸を通過する。新設した南19条大橋(延長236m)で再び豊平川を越え、電車が走る西7丁目通、国道230号などと交差しながら西に向い、西28丁目や競馬場北側を通過して終点の北17条西1丁目に達する。

 五輪関連事業としては、国道12号―西7丁目通間と南1条通―山の手通間の合わせて6.2㎞を整備した。42件の工事を20社が受注している。

五輪に合わせて整備された環状通の美園付近(美園横断歩道橋
[MAP↗]から2019年8月に撮影)

 4橋が同時に起工

4橋の合同起工式を報じた1969年11月15日付  ※クリックで拡大

 五輪関連では、多くの橋梁が整備されたが、1969年11月11日には、豊平川水系に架かる4つの橋の合同起工式が行われた。

 4橋とは、前記した南7条大橋、南19条大橋と、真駒内会場整備の一環として新設された五輪大橋(延長150m、工事発注時は仮称北の沢大橋)と五輪小橋(延長46m、仮称五輪橋)。

 起工式の様子を報じた11月15日付の記事は「刻一刻と近づいてくるオリンピツク開催の日。残すところあと八百日余り。競技場の建設も順調なツチ音を響かせている」で始まる。

 式は豊平川河畔の南7条大橋の現場近くで行われ、各橋の下部工事を担う「伊藤義郎伊藤組土建社長、岩田巌岩田建設社長、太田正之田中組社長、宮崎英夫岩倉組土建社長の四氏がそろつてスコツプを入れ工事の早期完成と安全を祈つた」。

 真駒内川に架かる五輪小橋を除く3橋は豊平川に架橋。71年2月に開かれた札幌国際スポーツ大会(プレオリンピック)に間に合わすために整備を急いだ五輪大橋と五輪小橋は70年12月、南7条大橋と南19条大橋は1年後の71年12月にそれぞれ完成している。

 11月15日付の特集記事で原田与作市長は「選手、観客などを円滑に輸送するためにはどうしても各会場を至近距離で結ぶ道路の整備が必要」とした上で、「これらの道路を有機的に結ぶため南七条大橋と南十九条大橋が計画され、また真駒内会場の整備計画の一環として北の沢大橋と五輪橋の架橋が検討され、このたびの着工のはこびとなつた」とその意義を伝えている。

1969年11月15日付の特集に掲載された原田与作市長の言葉 ※クリックで拡大

 

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