横浜の岩谷学園が廃校活用し中標津に日本語学校

2019年08月08日 12時00分

21年4月開校目指す

 郊外部の廃校を日本語学校として再生するだけでなく、将来的には地元の高卒者が通える専門学校開設構想も―。

 横浜を拠点に専門学校などを展開する学校法人岩谷学園(横浜市西区平沼1丁目38の19、岩谷大介理事長)は、中標津町内に外国人留学生を対象とした日本語学校(2学年制の各種学校)として開設すべく準備を進めている。2006年3月末で廃校になった旧若竹小の施設を活用し、21年4月の開校を目指す。

 6月27日には学園と中標津町、中標津町商工会(上原芳昭会長)、中標津町岩谷学園誘致の会(長谷川周栄会長)の4者が連携協定を締結。町は学園に学校開設に必要な土地と建物を譲与し、留学生の居住やアルバイト確保、町民の理解に向けた広報などは4者で力を合わせることとした。

 学校開設候補地は、中標津町西竹225の4[MAP↗]の旧若竹小。一部借地を含む1万8745m²の敷地に1987年完成でRC造、平屋、延べ741m²の校舎と、S造、平屋、延べ383m²の屋体、教員住宅がある。現在は町の生涯学習研究所「若竹の里」としてスポーツ少年団の合宿や友好都市との交流事業などのほか、地域のイベントでも活用されている。

 ただ使用時期は限定的なため当面は町内の他施設でも代替可能で、学園側もイベントなどの際はグラウンドや屋体を地域に開放する姿勢を示していることから、町は施設設置条例廃止を9月議会に諮り、認められた場合、10月以降に建物と、借地部分と西竹町内会館がある町有地の一部を除いた敷地を無償譲渡する方針だ。

 施設改修は、小学生向けのトイレなど水回りの更新が必須となるほか、定められた基準を満たすための内部改修などを進める。詳細は今後固め、譲渡を受けてから設計や工事を発注するが、来年5月には各種学校の設置認可権限を持つ道の現地調査があるため、それまでには完了させる。

 教職員は6―8人体制とし、当初は半数を横浜の学園から赴任させるが、残りは道内出身者を中心に採用し、徐々にその割合を増やす考え。

 学園は横浜の学校でベトナム、ネパールなどアジア圏8カ国から生徒を受け入れているが、生徒は担当者が現地で試験、面接して選ぶことから、来日した段階で最低でも小学1年生レベルの読み書きはできるという。

 生徒数は各学年50人。学園が借り上げてベッドや電子レンジ、冷蔵庫などを設置する市街地の住まいからスクールバスで学校へ通う。

 学園本部戦略広報企画局の佐藤嘉記部長は「都会の学校にはない、自然に恵まれた環境を生かして留学生を呼び込める。スポーツ好きな生徒も多いので、グラウンドや屋体での課外活動もできる新しいタイプの学校ができる」と期待。

 将来の専門学校構想については「地元の高校を出た子どもたちが学べる場を、という要望は受けている。どんな科目が地域のニーズに合うのか検討していきたい。ただ、地域の子どもたちだけでは経営が成り立たないので、そのためにも日本語学校の運営を成功させなければ」と話している。


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