中川建設(本社・中川)は、人手不足の現状打開に、生産性向上と安全性確保を推進するICT施工を積極活用している。本年度は旭川開建と旭川建管それぞれの発注工事でICT建機を投入。i―Constructionの技術習熟やノウハウ取得に努め、施工能力の改善結果をまとめ人材不足の打開策に検証・活用していく。
同社は、地方建設業者として技術者、オペレーター、作業員全ての人材が不足していく現状に危機感を抱き、数年前からICTの設備投資を進めてきた。2018年度から現場での稼働も増え、19年度は旭川開建から一般国道40号中川町琴平北改良(ICT活用・施工者希望Ⅱ型)を受注。全面的なICT活用を実践する。
同現場は音威子府バイパス事業の一環で、路体盛り土7万3000m³が主な工種。3次元マシンコントロールによるバックホーの法面整形、ブルドーザの敷きならし、GNSS管理によるローラー締め固めなど盛り土は全てICT施工だ。出来形管理は地上レーザースキャナーで実施する。
旭川建管発注の30年災9号美深中川線災復はICT活用の指定はないが、複雑な法面の把握と施工に有効とマシンコントロールバックホーを投入。急傾斜での丁張りが法面の3次元データ化で不要となり、工程・安全両面で効果を発揮している。
両工事の現場代理人からは「3次元データは完成イメージを共有しやすい」「レーザースキャナーで起工測量しており施工土量がすぐに算出できる」といったメリットも挙がる。手元作業の危険回避と手間を省くICT施工が、人手不足による地方建設業の諸課題解決を後押ししている。