寄稿 モンゴル・ウランバートルの不動産事情      JICAビジネス交流支援専門家 中村 功氏

2019年08月24日 09時00分

高収益の投資案件に成長する可能性も

 本道建設業も進出している新興国モンゴル。変動の激しい経済は、今どうなっているのか。国際協力機構(JICA)ビジネス交流支援専門家として首都ウランバートルに在住する中村功氏に、現地の不動産事情について寄稿してもらった。

 モンゴルは草原の国。人々は遊牧生活の中で馬を駆り、ゲルと呼ばれるテント型住居に住み、素朴な生活を送っている―。これが一般的な日本人のモンゴルに対するイメージではないでしょうか。

 もちろん、現在でもそのように生活されている方々は少なからずいます。しかし、首都ウランバートルに来られた日本のある大手新聞社の記者は「馬が走っていないんですね!」と驚いていました。モンゴルの総人口のほぼ半分、約150万の人口を有する首都ウランバートルでは、馬が日本製のランドクルーザーやプリウス、ゲルがマンションに代わり、都市部に関しては先進国と比べてもさほど遜色のない景色となってきました。

 モンゴルは、1990年の民主化以降混乱が続き、10年以上経済が低迷していました。しかし、2004年ごろから世界的な資源価格の高騰に牽引(けんいん)され、豊富な資源を有するモンゴルは順調に経済成長を続けてきました。2000年には450米㌦だった一人当たりのGDPは、18年には4009米㌦と、20年近くの間に9倍の成長を遂げました。経済の発展はウランバートルに建設ラッシュの波をもたらし、この十数年で街の様子は劇的に変化しました。

 急成長を遂げる新興国には、不動産投資の話がつきものです。私のように公的機関に所属して日本企業へのアドバイスをしている人間には、さまざまな相談が舞い込みます。「モンゴルの不動産はどうなるのか?」「不動産に投資したら儲かりますか?」この他にもさまざまな質問をされますが、「私にはわかりません」というのが率直な答えです。

高層建築物が増える首都ウランバートル

 ここで一つ事例を見てみたいと思います。11年、モンゴルが一番景気が良く、瞬間的に経済成長率が20%を超えた時期、私は民間企業の駐在所長として、不動産の投資先を探していました。私が「ここはいいのではないか」と会社に提案したマンションは、当時11万5000円(1m²当たり)程度で販売されていました。現在の中古販売価格を見ると9万―10万円くらいですので、下げ幅は低いマンションだったと言えますが、キャピタルゲインは出ていません。

 また、現在、そこのマンションの貸出価格は500円(同)くらいですので、もし中古物件を購入して賃貸したとすると、年間の単純な利回りは5%程度ということになります。

 モンゴルでは現地通貨で商業銀行に預金をすると、2年で13%程度の利息が付きます。また、ドル建てで定期預金をすると、1年で5%強の利息がつきます。外国人は利息から10%が源泉徴収されますが、それでも不動産を貸し出すよりは、商業銀行に預けた方がリスクの少ない投資になるのではないかと素直に考えてしまいます。

 しかしながら、相場の世界には「人の行く裏に道あり花の山」という言葉があります。今後、世界でもトップクラスの鉱山の開発が進むことにより、モンゴルの経済がさらに順調に成長していくと仮定すると、現地通貨の為替は強含みし、不動産の需要は増え、高収益の投資案件に成長する可能性がないとも言えません。

 そう考えると、今のうちに投資をしておくのが将来的には正解だったとなるかもしれません。やはり私のような普通の人間は『わかりません』と言うしかないな、となるのです。

 中村 功(なかむら・こお)1971年札幌市生まれ。2002年にJICA青年海外協力隊としてモンゴルに初渡航。民間企業、独立行政法人勤務を経て、17年からJICAビジネス交流支援専門家としてモンゴル国立大学付属の「日本人材開発センター」で両国ビジネスのコーディネーター役を務める。

(北海道建設新聞2019年8月21日付2面より)


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