日本航空(JAL)と農業総合研究所(農総研)は21日、究極の輸送スピードへの挑戦と題し、初の試みとなる「朝どれ昼売り」に取り組んだ。同日早朝に収穫したトウモロコシを新千歳午前8時発の便で羽田へ空輸し、新鮮な味覚を消費者に提供。収穫した日の昼に首都圏で販売することを可能にした。新たな輸送サービスを通して空港を中心にした地方創生を推進する。
両社と、農総研が母体である世界市場(本社・東京)の3者は2017年7月、農産物の輸出拡大を目指し連携協定を締結。同8月に帯広から香港や東京近郊に野菜を出荷し始め、その後、新千歳や旭川で展開している。
7月には農総研が新千歳空港施設内に集荷場を設置し、運営をJALに委託。JALの航空ネットワークと農総研の販売網を生かした物流体系が構築された。
この日「朝どれ昼売り」として初出荷したのは、竹内農園(北広島)のトウモロコシ180本と和田農園(余市)のミニトマト400㌔。トウモロコシは午前4時から収穫し、同6時20分ごろに空港集荷場に届いた。
竹内農園の竹内巧代表社員は「半日で届くというのは今まででは考えられない。面白い取り組み」とし、「おいしい物をおいしい状態で多くの人に食べてもらいたい」と話した。
空港に集荷場ができたことで、首都圏の店舗への輸送に通常は3、4日かかるところ、収穫翌日もしくは収穫日の昼前に店頭に並べることが可能になる。
また、農家が直接集荷場へ持ち込み、農総研が店頭に販売することで中間マージンを削減。野菜の価格も農家が集荷場で決められるため、農家の収入向上が期待できる。集荷場は旭川空港でも19日に開設した。
日本航空日本地区貨物販売支店北海道販売部の中野卓也部長は「空港を中心とした地方創生、地域活性化に関する取り組み。継続が大切」と主張。
また、道内7空港の民営化に触れ「帯広や女満別では温度管理設備を備えた貨物ビル新設が提案された。各空港で貢献できれば」と積極的な姿勢を示した。