札幌市は北海道胆振東部地震の影響で地滑り被害があった清田区の里塚霊園で、対策工事の着工を2020年度に先送りする方針だ。28日に開いた地元説明会で主な要因である地滑りの対策として押さえ盛り土を提案したものの、液状化を不安視する住民の理解が得られなかった。年内に再度説明会を開き、同意が得られれば、20年5月ごろの着工となる見通し。
里塚霊園に隣接する美しが丘5条9丁目などでは、地震後に建物が傾くなどの被害が発生。28日に里塚町内会会館で開いた地元説明会で、市は被害があった地域の造成経緯や被災メカニズム、対策工事の概要を説明した。
被害の主な要因は宅地側から霊園側に向かって最大3m低くなる、高低差による地滑りと報告。対策として霊園の緑地帯にある法面に接するように盛り土を施すことで、宅地を含めた周辺一帯の地盤安定化を図る方針を伝えた。
地質調査の結果、盛り土によって大きく沈下する地層はないと確認。盛り土し、仕上げに現在の表土をかぶせ、まき芝を施す計画だ。
対策範囲は、被害があった地域に隣接する霊園の緑地帯約4000m²。盛り土量は1万m³を想定する。
終了後、南美しが丘町内会の竹下勇会長は「霊園の緑地帯の液状化が原因ではという疑問が解消されなかった」と話し、再度の説明を求めた。
市建設局市街地復旧推進室の桜井英文室長は「高低差を埋めるため、盛り土は必要。液状化とは関係しないことを理解してもらう必要がある」とし、年内に説明会を開く考えを示した。