アイヌ政策は体験施設の整備に向けた企画設計費など計上
釧路市は、4日開会した市議会9月定例会に、アイヌ政策推進交付金関連と釧路コールマインの採炭方式変更に伴うシステム更新関連費用を盛り込んだ追加補正予算案を提出した。アイヌ政策関連は、アイヌ政策推進交付金を得られるめどが付いたことから、一般会計に1億6417万5000円、動物園事業特別会計に33万9000円を措置している。
一般会計では、阿寒湖アイヌシアター「イコロ」といった魅力あるコンテンツの多言語化やウェブによるプロモーションなどソフトを中心に、10事業へ予算を配分。このうち伝統儀式、木彫りや刺しゅう、音楽や料理などを体験でき、アイヌアートの展示も行う施設の整備に向けた企画設計には611万円を投じる。
特別会計ではタンチョウ、シマフクロウなど道内に生息する生き物とアイヌ民族の暮らしとの関わりが理解できる新たな施設整備を目指し、専門家や関連施設への聞き取り調査を実施する。
釧路コールマインでは現在、シールド枠(S)とドラムカッター(D)の組み合わせによるSDロングウォール方式と呼ばれる採炭システムが用いられている。太平洋炭砿時代に年間250万㌧を出炭した実績を持つが、出炭量が縮小した現在では無駄が多く、災害のリスクも抱える。
年間30万㌧体制へのシフトに当たり、ルームアンドピラー方式での採炭に転換を計画しており、それに向けたシステムの更新が必要。また、今後は大半が建設中の釧路火力発電所で消費される見通しにあり、石炭列車による運搬もなくなったことから積み込み施設改修などもにも取り組む。
総事業費は約13億円で、このうち約8億円は北海道産炭地域振興センターから助成金が下りる見通しとなったため、今回の補正で6億円を計上。残りは来年度の債務負担行為として限度額1億9950万円を設定する。このほか、市から同社への貸付金として4億円を措置。残り約1億円は同社が自己負担する。
これらは、既に提出済みの補正案と併せて13日に採決される予定。可決されれば本年度の予算額は一般会計が976億9536万円、動物園事業特別会計が3億7788万1000円となる。