北海道胆振東部地震の発生から、きょう6日で1年が経過した。最大震度7の揺れと、国内初の大規模停電(ブラックアウト)をもたらした震災。日常を取り戻した地域も多いが、大きな被害が出た胆振東部3町や札幌市内の里塚地区では、いまも震災の爪痕が残り、完全な復興にはまだ時間を要する。各地での復旧状況の様子をまとめた。
■吉野で斜面工事
無数の土砂崩れが発生した厚真町では崩土を運ぶダンプトラックが列を成し走行していて、その数に圧倒される。室蘭建管苫小牧出張所によると、今週の計画稼働台数は1日1260台に上り、9月は最大1650台を見込む。ピークは10月になる見通しだ。
土砂の大部分は日高幌内川下流の仮置き場に運搬し、河道閉塞(へいそく)で出現した土砂ダム埋設に使う。必要な土砂は330万m³だが、7月後半から始まった搬入は8月20日現在で累計15万m³と序盤。来年3月まで続く。土砂ダムは水位を下げているが、堆積崩土の除去や倒木を搬出するため、埋設開始は当分先になる。
土砂崩れで19人が亡くなった厚真町吉野地区では、室蘭建管と胆振総合局林務課が協力して崩落斜面の対策工事を進める。現在は合計7工区で施工していて、崩土除去後に斜面を整形し、フリーフレームを設置している。林務課による法面対策は全体で54カ所計画し、44カ所が着手済みだ。
明治以降最大の林地崩壊は4300haの広範囲で発生。復旧は民家近くを優先的に進めていて、治山事業は全72地区のうち53地区に着手した。森林造成は大規模な植林や緑化が必要となるため、2021年度まで生育状況を検証して復旧方法を探る実証試験を行う。
北海道建設新聞の2019年9月6日付1面から抜粋。関連記事を同日付の3、10、11、12面に掲載しています。