「世界津波の日」2019高校生サミットin北海道が10、11日の日程で、札幌市内の道立総合体育センター「北海きたえーる」で開かれている。44カ国から約400人の高校生が参加。初日は津波の脅威と対策についてグループ討論し、津波防災の強化を同世代のネットワークに広げた。
地震、津波から国民の生命と財産の保護、生活や経済に及ぼす影響を最小限に食い止める国土強靱(きょうじん)化の次世代リーダー育成、各国の絆を強めて災害から世界の人々を守ることを趣旨に、16年の高知県を皮切りに毎年開催している。今回は「記憶を未来へ、備えを明日へ」というテーマを設定した。
12グループによる分科会は、①知識を得る②意識を高める③復興に向けて行動する―の3つをポイントに実施。地域や学校の取り組みを紹介するプレゼンテーションで、岩手県の釜石高は、東日本大震災の被害や救援活動の様子を写真で示しながら、津波の恐ろしさを伝えた。根室高は、津波のメカニズムに関する学習や避難訓練、救急救命訓練といった取り組み、ハザードマップ活用の重要性を訴えた。
また、ドイツの高校は、河口部で高潮災害が発生した1962年の北海大洪水と河川対策を解説。メキシコの高校は、避難場所設定や防災教育、防災グッズなど平時からの備えの重要性を語った。
開会式で、議長を務めた札幌国際情報高2年の井戸静星さんと札幌日大高1年の桐越航さんは開会宣言で、北海道胆振東部地震に対する各地からの支援に感謝し、サミット成功へ力を注ぐことを決意した。
鈴木直道知事は、過去の災害を教訓に防災・減災を進めることの重要性を強調。「北海道が経験した命の大切さや今後への備えといった教訓を共に学び、サミットで絆を深めた皆さんが将来、それぞれの国で活躍するリーダーとなることを願う」と期待を込めた。
事前学習ツアーの報告もあり、奥尻高と江差高の生徒が各国の高校生と北海道南西沖地震ついて学び取ったことを紹介。「奥尻の自然は美しいが、恐ろしいものとなることもある。世界が災害に備えるよう訴えていく」と決意を語った。
(北海道建設新聞2019年9月11日付1面より)