深掘り

 地域経済の成長には、新たな技術シーズを生み出すだけではなく、その技術を発展させたビジネスの創出が欠かせません。〝勝ち〟にこだわる経営者らの発想やアイデアを紹介します。

深掘り 道CUDO 谷越律夫理事長

2019年09月13日 12時00分

谷越律夫理事長

不便を感じない社会に

 カラーユニバーサルデザインは、どんな色覚のユーザーにも色の情報が正確に伝わるよう、利用者の視点から色彩設計されたデザインで、いわば〝色覚のバリアフリー化〟。道内での普及に向け長らく活動する北海道カラーユニバーサルデザイン機構(道CUDO)の谷越律夫理事長に話を聞いた。

 ―道CUDOについて。

 設立は2006年3月。きっかけは、谷越印刷のオペレーターを募集していたときに出会った学生。面接の最終段階で「色弱なんです」と打ち明けられ、色の見え方が違う人がいることを知った。

 目立つよう赤を使ったりエコロジーを意識して緑を使ったりしても、それが伝わらないということに考えさせられた。そこから色弱について本などでいろいろ調べ、当時ロンドンにいた第一人者の岡部正隆先生(現・東京慈恵会医大教授)に出会った。その岡部先生が帰国しNPO法人をつくることを聞き、北海道でも立ち上げることにした。

 ―色弱者について。

 男性は20人に1人、女性は500人に1人の確率といわれている。血液型の違いのように、遺伝子タイプによる違いが原因で、僕らは病気や障害といった認識はしていない。

 ―道CUDOの活動内容を。

 色弱について正しく伝えることと、カラーユニバーサルデザインに配慮した製品を広げていくことの2本柱で活動している。会員は、色と接する印刷会社やデザイン会社が多い。北海道は色弱の専門医がいないため、眼科医のフォローもしている。

 2年に1回の普及啓発イベントは目玉。設立当初はパネル展「こころの色展」を企画し、その後は色弱者に配慮した商品をPRする「CUDエキスポ」を3回ほど開いた。ここ最近は「体験型CUD」を企画している。

 ―色弱者を取り巻く環境はどのように変化した。

 最近は、色弱という言葉自体をよく耳にするようになったと思う。「色にも配慮が必要」という認識は広がった。

 障害者差別解消法が13年に制定されたのは大きかった。同法では色弱者も障害者の対象とし、色の見え方で是正を求められた際は、自治体は絶対的に配慮しなければならず、企業は努力義務となっている。

 ―具体的な動きは。

 札幌市は「広報に関する色のガイドライン」を16年に作り、交通局が地下鉄や市電などで色のバリアフリー化を進めている。金融機関の自動預払機(ATM)や呼び出し機などでも配慮されるようになった。最近は、政府の全国地震動予測地図も対応するという発表があった。

 ―建設業も関係あると。

 18年4月のJIS改正で、安全色と安全標識を規定する「JIS Z9103」が13年ぶりに変わった。建物内の避難経路を示すピクトグラムや現場で使われる安全標識は、色弱者にも配慮した色でないと違反となってしまう。

 ―今後の活動について。

 これまでの集大成として、全く違ったイベントを企画したい。手弁当の組織なので運営は大変だが、不安そうな表情で来場した親子が相談後、穏やかな表情で帰って行ったとき、必要とされている組織だと実感する。最終的には、色弱者がちょっとした不便を感じない社会を実現させたい。(聞き手・佐藤匡聡)

 谷越律夫(たにこし・りつお)1966年6月生まれ、札幌市出身。札幌市東区に構える谷越印刷とデザイン会社・マークスソリューションズの社長。「こだわらず、焦らず、気張らず、あるがまま、素直な心」がモットー。


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