札幌市手稲区金山地区の住民有志が18日、札幌市議会に対し、北海道新幹線トンネル工事の「要対策土」受け入れ候補地から同地区を除外するよう求める陳情内容を説明した。付託を受けた同日の市議会総合交通政策調査特別委員会は、市に候補地選定を巡る動きを確認した上で継続審査と判断した。
陳情したのは金山地区と周辺の手稲区民ら30人でつくる「有害掘削土から手稲の水と安全・健康を守る会」。会の代表が周辺に浄水場や小中学校、病院、老人ホームがあること、土砂災害の恐れや過去に鉱山跡地から異常出水の被害があったことなどを理由に候補地からの除外を求めた。
市議会各会派は市に選定の経緯や住民説明の状況を確認。安全、安心を最優先に対応するよう要請し、継続審議を決めた。
守る会の堀井克幸共同代表は「危険性は示した。冷静に話し合えば撤回を判断してもらえる」と話し、市、機構と直接話し合う機会を希望した。
札樽トンネル市内工区の掘削土は230万m³に上り、半数は長年基準を超えて摂取すると、健康被害の恐れがある自然由来の重金属を含む「要対策土」と推定されている。
処分候補地として市と整備主体の鉄道建設運輸機構は、金山地区の民間採石場跡地と厚別区山本の市有地を選定。事前調査の説明会を開いたが住民の懸念や反対が強く、調査を一時保留し再説明の準備を進めている。
秋元克広市長は同日の定例記者会見で「安全、安心が確保され、市民の理解なくして進めることはできない」と述べ、住民の不安や懸念を受け止め、情報提供に努める考えを示した。