災害時にすぐに架設できる橋梁を木質材料で作ることができないか―。函館高専の学生が18日、折り畳み式木製橋梁の架設実験に取り組んだ。地元建設業者の協力も得て、グラウンドを川に見立てて架設。施工性の高さや十分な強度があるか確認した。
専攻科社会基盤工学専攻2年の佐藤史織さんと、社会基盤工学科5年の小泉楓さんの2人が担当した。社会基盤工学科の平沢秀之教授の指導の下、橋長6m、全幅0・6mの木製ハウトラス橋を製作。桁や床版などの部材をあらかじめ別パーツ化して折り畳むなどし、現地で展開、組み上げる方法を取った。
材質は道南スギ。先輩から受け継いだ設計図を基に、佐藤さんが2分の1モデルを設計し、手作業で組み立てた。2017年から研究に着手し、ようやく屋外での架設にこぎ着けた。
今回の実験のほか、木材や金具などの材料調達には戸沼岩崎建設が協力。この日は、平沢教授と高専の同期という戸沼淳社長が駆け付け、様子を見守った。
実験を終え、公務員としての就職が決まっている佐藤さんは「災害時に率先して動く立場になる。復旧の方法を学べたのは良い経験になった」と話した。
土木コンサルへのインターンシップをきっかけに橋梁工学を専門とした小泉さんは「部材の折り畳み方などさまざまなアイデアが必要で、学ぶことが多かった」と振り返った。
同高専では、今後も別の学生による木製橋の架設実験を予定。コスト面のメリットや施工性の良さなどを広く周知していく考えだ。(函館)