NPO法人雪氷環境プロジェクトは18日、札幌市庁舎で技術研究会を開いた。雪屋媚山商店(本店・美唄)の本間弘達社長が、東京に雪を運ぶ活動の報告をした。

利雪が注目されていると話す本間社長
本間社長は、東日本大震災発生をきっかけに、省エネルギーや新エネルギーに関心が集まるようになったとし、その一つとして利雪が注目されていると説明した。
堆積場の雪をただ解かすのはもったいないと考え、東京に雪を運ぶプロジェクトを開始。帝国ホテルに、2012年と13年の2年間にわたり、毎日5㌧の雪を札幌の堆積場から運んだ。
鉄道貨物コンテナに雪を運搬。ホテル地下に設けた仮設雪氷槽に投入し、冷水で室内の冷房機を回した。客に提供するサービスの質を落とすことなく、節電ができた。
08年の北海道洞爺湖サミットでは、国際メディアセンターで雪冷房が活用されたほか、新千歳空港のサミット貴賓室棟には、雪室で寝かせて開花時期を制御した桜を展示。北海道らしさをPRできるよう、江別市の土で作った縄文土器レプリカに生けた。
20年東京五輪のマラソンコースか競歩コースに、熱さ対策として雪を提供する予定。この準備で8月に銀座、築地、日本橋で開かれたイベントに美唄市の雪と沼田町の桜を展示した。
雪は3月にフレコンバッグに詰め、77袋を高さ5mの山状に積み上げて保管。上から30cmのチップ材で被覆すると、1年間で1・5mしか解けず、残りの3・5mは保つことができると話した。
銀座では、雪の設置で周囲の温度が3・6度下がったことを確認した。本間社長は「暑さ対策に少しでも貢献できることが分かった」とまとめた。