北海道ゴム工業所(本社・由仁)は、既存品に比べて防水性能を10倍に高めた発泡ゴムを開発し、マット製品として販売を始めた。ゴム内部の水分が少ないため厳冬下でも凍結しにくい性質を持つ。これまでの発泡ゴムマットに比べて硬めで耐久性も高いことから、野外施設向けの滑り止めや衝撃吸収材、立ち仕事などの疲労軽減用マットとしての使い方を提案している。
製品名は「ばぶラバ」。一般的なゴムマットには発泡タイプではない純粋なゴムが使われるが、比較的重くて硬いために、動かしにくい、加工しにくいなどの短所がある。このため一部で、発泡剤で内部に気泡を作って軟らかくした発泡ゴム製のマットが流通している。だが多くは気泡のサイズや形が不ぞろいで、大きな気泡が多いために全体の強度が不十分だったり、気泡間の壁の薄さからゴム内に水が染みやすかったりしていたという。
同社は特殊な発泡剤を練り込むことで、内部の気泡を小さくそろえることに成功。軽さを確保した上で弾力・耐久性を高め、水の浸入も抑えられるようにした。社内実験によれば、平均的な発泡ゴムマットを水に24時間つけると、ゴム自体が水を吸うことで重さが約8%増したという。一方、新製品の場合は同じ条件で0.8%増だった。
新製品の用途として同社が想定するのは、例えば屋外のコンクリート階段などに付ける滑り止めマットだ。従来品では、雨などでぬれた状態が続くと発泡ゴムが吸水して滑り止め効果が失われ、冬季には内部の水ごと凍り付いていた。
防水性が高い新製品の場合、マット自体は凍りにくく、弾力が保たれることから、例えば氷割りのような作業が楽にできる。これまでの実験から、気温マイナス25度で弾力を保つことは確認済み。冬季対策としては、電熱式の融雪マットと違って電源が不要なのも利点となる。
また別の用途として考えられるのが、立ち仕事向けの疲労軽減マットだ。これまでの発泡ゴムマットも作業員の足元に敷く用途で売られてきたが、軟らかすぎて足が沈み込み、かえって疲れるケースも見られたという。新製品は気泡の小ささゆえに硬めで、踏んだときに過度に沈み込まない。
さらに、断熱・断冷効果も期待できるという。内部に水分が少ないために温度が比較的伝わりにくく、冬の足元の冷えを抑えられる。
同社が今回の発泡ゴムを開発したのは昨夏。取引先に依頼して、試作マットを高所作業車のバケット内に敷いてもらった。長沢嘉樹専務によると「作業員から雨でも滑らない、足の冷えが緩和されると高評価を得た」。試用が始まってから1年以上たつが「割れなど傷みの報告は今まで一度も来ていない」という。
マットは最小が縦横60cmの正方形で厚さ1・2cm、重さは約2・5㌔だ。一般的なカッターがあれば容易に切断・加工ができる。販売価格は1枚当たり1万円台前半を目安とする。今後展示会への出品などを通して積極的にPRし、市場を開拓する考えだ。