M&Aで経営規模拡大 武ダホールディングス

2019年10月07日 15時00分

30年度までに売上高300億円へ

 総合建設業グループの武ダホールディングス(HD、本社・札幌)が、道内建設業のM&A(合併・買収)を通した規模拡大を進めている。2014年秋に設立してから5年弱で5社を買収し、19年7月期の連結売上高は初年度比4倍の60億円を計上。今期は65億円に拡大する見通しだ。30年度までに売上高300億円の目標を掲げている。

 M&Aの第1弾として、16年3月に恵庭建設(本社・恵庭)と子会社の野村技研(同)を買収。その後、17年7月に安平町の西村建設、ことし7月には釧路市の加納工務店と関連会社のカノウ商事を傘下に収めた。それぞれ買収額は非公表。

 武ダHDは建設業の武ダ技建創(本社・札幌)を中核とする企業グループの持ち株会社で、建設コンサルティング事業も手掛ける。前身は1980年設立の札幌中島塗装で、2010年に改称した。

 武ダ技建創は14年、M&Aの展開を視野にホールディングス制に移行。グループの親会社として武ダHDを設立し、その下に技建創、不動産のTAKEDAXTが同格の兄弟会社として並列する形となった。M&Aでグループ入りする企業は、原則的にHDの子会社となる。武田幹郎HD社長は「買収先にとっては技建創の子会社になるより、対等な関係である方が受け入れやすい」と狙いを説明する。

 HDは主に、後継不足などから承継先を探している地方の建設業を買収する方針だ。売上高10億円以上で、基本的に黒字経営であることが条件という。M&Aの仲介業者と契約して、売却情報を収集している。

 買収に当たっては、対象企業の全株式をHDが買い取って完全子会社化する。だが、原則として買収先の商号や雇用はそのままとし、協議次第では前体制の経営者にも残ってもらう。恵庭建設の本荘武則社長、加納工務店の加納則好社長はM&A後も留任し、HDの武田社長が会長職に就いた。

 グループ入りした企業に対しては、HDが業務改善プログラムを実施し、買収前より成長力を高める。恵庭建設の場合、16年の買収当時は年間売上高約15億円だったが、18年度は約24億円に拡大。従業員の給与水準も引き上げたという。

 HD発足時にグループで約50人だった社員数は、M&Aなどを通して140人を超えた。買収時は、武田社長が対象企業の全社員と個別面談して新オーナーとしての考えを伝える。役員や管理職だけでなく現場社員に対しても一人一人時間を取る。これまでM&Aを理由とする退職者は一人も出ていないという。

 武ダグループが目指しているのはゼネコンとしての成長だ。下請け業務をメインとしてきた札幌中島塗装時代に、元請け事業を積極受注する路線に転換。これまで大規模施設の改修や補修など、建築・土木両分野で元請けの事業実績を増やしてきた。

 グループでの受注力を高めるため、今後10年強で連結売上高300億円到達を狙う。来年以降もおよそ年1件ペースでM&Aを続ける考えだ。

 北海道建設新聞2019年10月7日付3面では、武ダHDの武田幹郎社長のインタビューを掲載しています。

また、同日付9面にも関連記事を掲載。7月に武ダHDの子会社となった加納工務店について、M&Aの経緯などを紹介しています。

 記事は紙面のほか、会員向けサービス「e-kensinプラス」の記事検索コーナーからご覧いただけます。


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