深掘り

 地域経済の成長には、新たな技術シーズを生み出すだけではなく、その技術を発展させたビジネスの創出が欠かせません。〝勝ち〟にこだわる経営者らの発想やアイデアを紹介します。

深掘り 公清企業 原田利明社長

2019年10月11日 10時00分

原田利明社長

持続可能な業界目指す

 ごみの収集運搬やリサイクル、下水道の維持管理を担う公清企業(本社・札幌)。人口減少や少子高齢化などで事業環境が大きく変わる中、これまでの世襲を前提とした組合組織を改め、株式会社として新たなスタートを切った。原田利明社長にその意図や今後の目標などを聞いた。

 ―組織の変遷を。

 し尿の収集運搬をなりわいとする一人親方が集まり、企業組合として1957年に設立した。当時の札幌は隣接地の編入や合併で人口が増え、66年に衛生処理100%を達成。一方、並行して整備してきた下水道の普及に伴い、し尿の収集量は減った。直営の収集車は80年度で全面廃止となり、委託車も急速に減少した。

 75年に「下水道の整備等に伴う一般廃棄物処理業等の合理化に関する特別措置法(合特法)」ができた。札幌市も減車分を代替業務に転換する対応策を講じ、下水道の維持管理など事業多角化が始まった。設立30年後の87年に協業組合公清企業へ名称を改め、2019年4月に株式会社公清企業と組織変更した。

 ―株式会社化の意義は。

 これまでの協業組合公清企業は組合員8者で出資する組織。将来を考えたとき、ネックになることが多数出てきた。

 一番は事業承継の問題。8者それぞれに世襲する子や孫はいるが、業界に入っている者は少なく、譲渡や相続には多大な費用がかかる。今のうちに将来のことを考え、自由度の上がる株式会社化を選択した。

 株式会社化によって従来の世襲制度はなくなった。500人超の組織を引っ張っていくには内部からも登用しなければならないし、外部から招くという動きも必要になる。組織を維持していく上では、今が正念場だと思う。

 ―業界環境の変化を。

 人口減少から、ごみ収集の業務量は減少している。地方では仕事を辞める仲間が出ており、自治体は広域化によって対処している。われわれは「最後の一軒まで責任を果たす」のが使命だが、先々の状況は大変厳しいと認識している。

 少子高齢化で、ごみの種類も変わってきた。国土交通省は、下水道への紙おむつ受け入れ実現に向けた検討会を立ち上げ、破砕回収一体型の実証試験などを考えている。ニーズはまだまだ増えるはず。下水道の維持管理はこれからが本番で、いかに今ある施設を有効に使いつないでいくかが問われている。

 ―自社の強みは。

 多部門にわたる機動力だ。災害時は復旧工事だけでなく、仮設住宅から出るごみなども収集しなければならない。わが社は、ごみ収集や廃棄物処理、上下水道の維持管理、環境測定分析、道路清掃などを担っており、総合的に対応できる。

 東日本大震災や北海道胆振東部地震を通し、初動のノウハウや応急対応力を備えてきた。全国津々浦々の仲間との連携力も強みだ。

 ―今後の抱負を。

 経営理念の「あり続ける」というカラーを大切にしたい。持続可能な会社や業界を目指し、人々の快適さを維持する仕事を貫きたい。街をきれいにすることでリピーターを増やし、陰ながら札幌市の観光振興にも貢献できれば。ごみ収集は大事なインフラ事業だと思っている。(聞き手・佐藤匡聡)

原田利明(はらだ・としあき)1951年12月、札幌生まれ。73年室蘭工大卒、日本石油(現JXTGホールディングス)入社。83年札幌公清企業組合に転職。2008年に理事長となり、19年4月の株式会社化で初代社長に就く。

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