名寄市 王子マテリア名寄工場の事業継続要請

2019年10月16日 07時00分

15日に緊急対策本部を設置

 名寄市は15日、王子マテリア(本社・東京)名寄工場の生産停止に対して再考・撤回を求める緊急対策本部を設置した。市は9日に同社本社に出向き、再考・撤回を求めているが「ゼロ回答」の状態で、月内に影響額などをまとめ再度、地域における重要性を訴えて事業継続を要請する。同社は生産停止後の工場の利用方法は未定としている。

21年12月に生産停止を予定している王子マテリア名寄工場

 王子マテリア名寄工場[MAP↗]は、1960年に天塩川製紙として設立され、現在は抄紙機2台を有し正社員約100人の体制で段ボール原紙と特殊板紙を生産している。持ち株会社の王子ホールディングス(本社・東京)は4日、生産体制の再構築を目的に王子マテリア名寄工場を停止し、王子製紙苫小牧工場に集約すると発表。王子マテリア名寄工場で特殊ライナーと特殊板紙を生産している2号マシンを21年9月に、中芯を生産している3号マシンを21年12月に停止して、2号マシンのみ王子製紙苫小牧工場へ移設して22年4月に稼働する再編計画となっている。

 市内の工業は製造品出荷額約186億円のうち約149億円がパルプ・紙・紙加工品によるもので、王子マテリア関連が市内の2次産業の約8割を占める。

 生産停止による工場閉鎖の影響は甚大なため、9日には市、名寄商工会議所、道などが王子マテリア本社に出向き再考を要請。加藤剛士市長は15日の記者会見で、要請結果について、小関良樹社長へ「突然の通告」と遺憾の意を伝え「地域経済に影響があまりに大きい」と撤回を求めたが具体策の返答はなく「ほぼゼロの回答」だったと報告した。

 市はあらためて地域における影響を定量的に捉えて存続を訴えるため、名寄商工会議所と風連商工会を構成員に、道をオブザーバーに据えて緊急対策本部を設置。情報収集を進めて影響額を算出するほか、影響を受ける企業の相談に応じる。市によれば影響を受ける企業は少なくとも70社はあるとしている。

 加藤市長は「(工場が)なくなった場合のことはまだ想定していない」としながらも「経済面だけでなくインフラなどさまざまな面に波及する問題」と緊張感を持って早急に対応する姿勢だ。


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