東京五輪マラソン札幌開催検討受け 市と道が情報共有体制

2019年10月18日 07時00分

冬季大会招致機運向上に期待

 国際オリンピック委員会(IOC)が2020年東京五輪のマラソン、競歩の競技会場を札幌に変更する案を発表したことを受け、札幌市と道は17日、地元関係機関と情報共有体制を構築し、準備に乗り出した。東京五輪まで1年を切る中、札幌に開催が決まった場合の影響を検討していく方針を確認。実現すれば札幌を世界に発信し、30年の冬季五輪の招致機運を高める絶好の機会になると関係者は期待している。

 8月に開く東京五輪のマラソン、競歩は猛暑の影響が懸念されていた。IOCは16日に会場の変更を検討すると発表し、大会期間中の札幌の気温が東京より5―6度低いことを理由に挙げた。

 30日から11月1日に東京で予定されているIOCの東京大会調整委員会で、この問題について議論し方向性をまとめる。

 札幌市の秋元克広市長は17日、札幌開催が決まれば「20年大会の成功に向け最大限協力したい」と前向きな姿勢を示した。五輪の開催地にふさわしいと世界に認識してもらうため「しっかりやることが30年への道につながる」と期待を込めた。

 半面、秋元市長は「コースをどうするか。オリンピックのマラソン競技をやる想定をしていないのでコース選定からスタートしなければ。時間がタイト」と強調した。

 道と札幌市を含め関係機関の中で情報共有する体制を築く。鈴木直道知事は「速やかに市と連携を取り、オリンピック成功に向けて万全の体制で臨む」と話している。

IOCの発表を受けて道や市が情報体制を確認した

 連携体制をつくるため、札幌市と道は17日、実務者連絡会議を立ち上げ、いち早く情報共有に着手した。終了後、報道陣の取材に市の中田雅幸スポーツ局長はコースについて、IOCの検討を注視するとし「必要に応じて北海道マラソンなどで培った経験・ノウハウを提供していく」と述べた。

 今会合には北海道警察も参加し、それぞれの持っている情報や、今後は開催する場合の影響を検討していく意向だ。

 北海道商工会議所連合会はラグビーワールドカップ以上に外国人の来札が見込まれるとし、「仮に開催地となれば受け入れ体制を強化していく必要がある」と提言する。

 建設業界からは、北海道建設業協会の栗田悟副会長が、コースの舗装などハード整備に期待を寄せるとともに「オリンピックの決勝競技を立派に運営すれば実績になる」と述べ、30年招致への弾みになるとした。

 北海道マラソン以上の動員が見込まれる警備員の確保にも懸念がある。建設工事が最盛期を迎える7―8月にオリンピック関連の会場警備に当たることになる。北海道警備業協会の岡豊彦専務理事は関係機関と協議しながら「全面協力の姿勢でやっていかなければならない」と決意を述べた。


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